豊島逸夫の手帖

Page1934 もし利上げしていたら?イエレン議長、冷や汗のサプライズ

2015年10月5日

まず、先週土曜日にABC朝日放送で、「VW問題はEU分裂の危機をはらむ」と題して、解説したときのyou tubeはこちら↓

https://www.youtube.com/watch?v=nFlIXv1Q0iQ


放送後、VM内部調査で、やはり、組織ぐるみの可能性が強まっていることが判明。

さて、今日の本論。

9月米雇用統計サプライズで、イエレン議長は安堵の溜息をついたのではあるまいか。

もし、9月に利上げして、直後の雇用統計が、急激に悪化した、という展開になっていたら、FOMCも市場の信頼を失っている結果になったかもしれない。「早すぎた利上げ」と批判の声も強まっていたことだろう。

「利上げ見送ってよかった」

これがイエレン議長の本音のように思える。

それにしても、金融正常化のタイミングは難しいと改めて痛感させられた。

「雇用市場は改善を続けており、雇用数は堅調に増え、失業率も下がってきている。全体的にみると、労働市場に関する一連の指標は、労働資源の未活用の状況が年初以降、改善したことを示している。」

9月FOMC声明文にはこう書かれたが、まさか、9月の非農業部門新規雇用者数激減のみならず、7~8月分まで下方修正されるとは、明らかに想定されていない。

いっぽう、9月24日マサチューセッツでのイエレン講演では、「利上げの条件が揃い、年内利上げが適切と多くのFOMC(米連邦公開市場委員会)参加者は考えている。ただし、サプライズがあれば、この判断は変わる。」と語られた。

これは、いかようにも解釈できる表現だ。

多くの市場関係者は、前半の「年内利上げ」に注目したが、本欄では後半を重視して「来年利上げも示唆」と見出しに書いた。この少数派の解釈が、今や、市場で急速に台頭している。

さて、今後の展開だが、ここまで雇用統計が悪化すると、かりに10月、11月に好転しても、その持続性が問われよう。その疑念を払拭するだけの、あらたな材料も、見当たらない。労働参加率、平均時給など構造的数値は、2~3か月で顕著にトレンドが変わるものではない。

市場も、利上げ執行開始まで、3~6か月の執行猶予を見込み、リスクオンの流動性相場の兆しが見え始めた。中国・欧州そして日本の追加緩和の可能性も無視できず、世界的な過剰流動性が、再び、循環物色の「マネー回遊」を連想させる。

中国経済リスクも、「緩和期待」となり、「悪いニュースが良いニュース」とされる地合いとなる可能性が強い。

既に、先週金曜のNY株式市場では、雇用統計直後は「悪いニュースは悪いニュース」として売られたが、その後、「悪いニュースは良いニュース」で買いとなり、180度転換している。

米雇用統計をはさみ、市場の景色は激変した。

金利のつかない金は、価格が急反発。1130ドル台。プラチナまで買われた。

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