豊島逸夫の手帖

Page1936 エコノミストは、なぜ相場を外しまくるのか

2015年10月7日

知識量が多くても、相場が当たるとは、限らない。

もし、そうであれば、大学教授が一番当たるはずだ。しかし、世間知らずが多く、悪徳商法に頻繁にひっかかっているのが実態だ。

エコノミストという職業も、理路整然と間違える。

知識が多ければ多いほど、決断できなくなってしまう。最後は、シナリオA、シナリオBに分けて、それぞれの確率60%とか40%と逃げてしまう。もっともらしく、メイン・シナリオとリスク・シナリオと分けて、結果が、後者にでると、「リスク・シナリオどおりですね。」などと言ってのける。

先日、テレビ番組で、「なぜエコノミストは外すのか」というお題のディスカッションやっていて、「エコノミストの給料が、当たり外れで差が出るようになれば、だいぶ事情は違ってくるのではないか。現状は、メディアに出て、どれだけきちんと説明できて、知名度が上がるか、が人事考課の判定基準となっている。」という主旨を語っていた。

かくいう筆者も、日経などでは「マーケット・アナリスト」とされるが、あれは、日経が決めたタイトル。独立したとき、「豊島逸夫事務所代表豊島逸夫」では「すわりが悪い」そうで、それらしい横文字を考えたようだ。自分では、独立して、個人の名前で、どこまで勝負できるか、試してみたかっただけの話。よく、サラリーマン社長も退職すれば、ただの人、といわれるが、組織を離れてこそ真価が露わになるものだ。

テレビも肩書きに異常なほどこだわる。筆者の場合には、米利上げの話の場合は「米金融政策に詳しい豊島さん」、ギリシャ・難民・VW問題のときは「欧州経済に精通した豊島さん」、中国リスクのときは「中国の銀行・取引所でアドバイザリーを務められた豊島さん」。。。。

出るたびに代わるので、友人には、カメレオンみたいと呼ばれている(笑)。

でも、自分では、総合的にマーケットを見られるプロだと思っている。組織に属すると、米国・欧州・中国とそれぞれ専門化する。セクター別でも、株式・外為・債券・商品とたこつぼ的になる。その縦割り組織の制約を受けず、属する組織の公的見解(ハウス・ビュー)に囚われず自由に語るには独立するしかない。そういう人材が日本にはいない。米国にはたくさん居る。メディアも、大手金融機関の専門家だけではなく、個人のプロの見解も積極的に取り上げる風土が出来上がっている。

筆者も、専門バカになりかけた時期があった。

米国の名門ウォートン・ビジネス・スクールで「近代ポートフォリオ理論」と「計量経済学」を学んだが、結局、実戦では、まったく役立つことはなかった。経済理論には必ず前提条件があるのだが、市場環境は日々変化するので、追いつかないのだ。

それ以来、感覚でモノをいうようになった。でも、メディアの人たちには、扱いにくい人材のようだ。テレビなら割り当て時間、雑誌なら1~2ページと、時間やスペースを理路整然と埋めるのが彼らの仕事だからだ。

例えば、米利上げ時期にしても、ガタガタ理屈いっても、最後はデータ次第で決まるので、決断能力が求められる。ディーラー出身だと、毎日のようにやって慣れたこと。年初から「2015年に利上げなし。」と語り続けた。最初は相手にもされなかったが、利上げ時期予測が6月か9月か、から9月か12月か、そして今や、12月か2016年か、と変遷して、マーケットのほうが勝手に近づいてきた。エコノミストたちも、遂に、音をあげたらしく、12月確率35%、2016年3月40%とか、メインシナリオ・リスクシナリオに分けたりし始めた。口が裂けても「これまで間違えてばかりで、分かりません。」とは言えないので、苦肉の策と見える。

筆者自身の思いはといえば、単に、俯瞰して当たっているだけの話。米国経済も中国経済もヤバいから、利上げなんて出来るの?イエレンさんも決められない性格だし、と思っただけだ。でも、メディアでは、この数行の説明では商売にならない。とはいえ、説明が難しくなればなるほど、視聴あるいは購読する投資家は混乱して、ボラティリティーばかり高まる。

でも、自慢話ばかりできない。

後だしじゃんけんせず、前向きの予想をしていると、大外しもある。

今年外したのはプラチナ価格。

2015年はプラチナの年、と語ってきたが、結果は金価格より200ドル以上も安くなってしまった。

これも理屈を言えばキリがない。

なにを言っても言い訳になる。とにかく、プロの私は間違えたのだ。VW問題勃発云々言っても始まらない。

米利上げの話になると、勝てば官軍だが、プラチナになると、敗将は語らず(笑)。

ただ、プラチナカードのステータスがゴールドカードより下になることはないと思っている。

今日は、何となく、反省会になったが、年末に総括したい。

今日の旨い物写真は、栗のイタリアン・リゾットと鴨のコンフィ。シェフのタカさんのセンスが光る。

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