豊島逸夫の手帖

Page2307 イラン大統領選挙にも注目

2017年5月11日


5月19日にイランで大統領選挙第一回投票があります。過半数を獲得する候補者が出なければ、5月26日に上位2名による決選投票になります。


今回のイラン大統領選挙が特に注目されているのは、やはりトランプ大統領の「イラン嫌い」ゆえでしょう。米大統領選挙運動中には「イランとの核合意は最悪のディール。破棄だ!」などと叫んでいましたから。もし、本当にイラン核合意が反古になれば、イランとサウジの核開発競争の可能性も意識され、一気に中東情勢が悪化します。しかもイランには必ずロシアが背後についています。更にイランはシリア内戦にも関与して「テロの最大のスポンサー」などと言われたりします。


但し、さすがにトランプ大統領といえど、核合意廃棄はないでしょう。その代わりに「弾道ミサイル開発」「テロ支援国」などの理由を挙げて、イランへの経済制裁再開に動いています。イラン側から見ると、経済制裁解除を条件に核合意したのだから、それはいちゃもんだということになるでしょう。既に国内には反米ムードが強まっています。とはいえ、経済制裁解除で復活した原油生産輸出はイラン経済の命綱ですから、あまり事を荒立てたくはないという国民感情(勘定?)も無視できません。


そこで大統領選挙候補者ですが、本命は現政権で穏健派のロウハニ大統領。対抗馬が保守強硬派のガリバフ・テヘラン市長とライシ前検事総長です。反米感情の高まりは保守強硬派への支持を強めることになります。ライシ氏は法学者でイランの最高権力者ハメネイ師の後継者の一人と見られています。一方、ガリバフ氏の強みは圧倒的な知名度です。イランの場合、選挙日前に保守強硬派が急転直下、どちらか一人の候補者でまとまるなどという可能性もあります。


なお選挙の争点は、やはり失業などの経済問題が大きなポイントです。
でも世界から見れば、やはり米国との軋轢でしょう。
もし、保守強硬派が勝利すれば中東情勢緊迫となるは必至です。
特に事態がこじれると、中東産日本向け原油の8割が通るホルムズ海峡の封鎖などの可能性があり、日本経済にとっても他人事ではありません。
私もホルムズ海峡を視察したことがありますが、基本的に海の深度が浅く、大型タンカー用に浚渫したシーレーンが入船用と出船用の二つ。それぞれ幅1.5キロ程度ですから、封鎖しようと思えば難しい話ではないことを実感しました。


一方、イランには経済制裁解除後に多数の企業が進出・ビジネス拡大しているので、消費大国として重要な「顧客」にもなっているのです。
日本にとっても世界にとっても注目の選挙と言えるでしょう。

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