今週も大荒れの予感

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2008年3月3日

皆さん、週末は(F1風に云えば)ピットストップでエネルギー補給しましたか。今週も乱気流が予想されますから、シートベルトは低くきつめにお締め下さい。

目玉は、まずISM製造業指数。2008年1月分は41.9と、2003年3月以来の落ち込み。しかも、1か月で12.5ポイントもの減少は統計算出以来初めてとあって、米景気悪化を印象づけた。

そして、米雇用統計。これも、2008年1月分はマイナス17,000人と4年5か月ぶりの純減であった。この統計は、元来、月々の振れが激しく、また平気で大幅修正するからサプライズ性あり。

これらマクロ経済指標の出方次第では、3月18日のFOMCまで待てず、再び緊急利下げ50bpさえ予想される。これが金価格1000ドル到達最短シナリオ。でも、プロの深読みすれば、そこで利下げ頭打ち感も徐々に醸成されるかも。FRBの本音を読めば、原油100ドル=インフレ懸念対応型シフト、つまりは利上げへの転換にも緊急性あり ということだ。

そして、もうひとつの話題はロシア、メドベージェフ新大統領誕生。プーチンとの"双頭政権"とか言われるが、ここまで露骨な身内の馴れ合い政権も珍しいね。同じペテルスブルグの出身で、元職場(KGB)の上司と部下。それでも、ロシア国民は資源高という追い風に支えられたプーチン下の繁栄継続、というかロシア経済復活路線を望む。

筆者のもうひとつの注目は今日から北京で開幕の全人代。"共同富裕社会"創造のための農村政策(雇用創出)と過熱経済を抑制し、8%台の巡航速度への減速をいかに両立できるか。(出来るわけないよね。)まずは、都市に暮らす出稼ぎ労働者が医療保険、年金に加入できるように現行の戸籍制度を改革することからかな。

外資主導の経済成長からの脱却のために、外資に対する法人税優遇の廃し、国内企業と同じ税率25%に統一する案も出てくる。これも、中国経済のいわゆる "内需"がどこまで期待できるかを見る上での試金石。ディカプリング(米経済との非連動)説の真価が問われる。

この点に関して、筆者が思うに、健全な内需とバブルっぽい内需の二種類があるのだ。前者の代表格は京滬高速鉄道計画。京は北京。滬は上海。全長1320キロの新幹線計画。 

筆者が上海で人民銀行の人たちとの会合に出席したときのこと。どうみてもフツーのOLさんにしか見えない30代と思しき女性3名のチームが、朝8時着の夜行列車で到着。終日会議の後、同夜の夜行列車で帰って行った。軍優先で民間用空路が狭いから飛行機での出張は遅延が常態化し、時間の計算が出来にくいのだよね。

それから6月には上海近郊に世界最長の海上大橋、杭州湾跨海大橋が開通予定。瀬戸大橋との違いは倍以上の36キロという長さだけではなく、2000万人近い人口の上海地区と550万人の人口を有する機会産業の中心地寧波を結ぶ交通路ということ。ドライバーの視覚疲労を避けるためS字型カーブ設計で、建設資金の30%は民間で賄われる。なお、同大橋についての専門サイトまで設定されているよ。 http://www.zj.xinhuanet.com/2007special/2007hzwhl/index.htm


さらに上海沖31キロの外海に建設された洋山深港への東海大橋。こちらは全長31キロで6車線。もともと、上海は長江支流の黄浦江両岸に狭小な河川港を持つだけで大型コンテナ船荷役には不適であった。そこで、外海に水深15メートル以上の岸壁を有する国際的ハブ港基地建設となったわけだ。

他方、不健全でバブルぽい内需も多い。北京、上海郊外の豪華マンション。そこに住まう、にわか株長者。あるいは、新興企業社長たち。でも、その会社の財務内容を支えるかなりの部分が本業の収益ではなく、株売買による"財務"収益である。こういう部分は、8%への巡航速度への減速の過程で"バブル破たん"の憂き目を見ると思う。

こうして見てくると、ディカプリング(非連動)できる前者と、リカプリング(連動)必至の後者と共存しているのが現状。米国がくしゃみすれば中国も風邪はひくが、肺炎にはならないということか。デカプリオとリカちゃん、二人とも注目の存在なのだ。

寂しいのは、欧米の連中と話していると、日本経済だけは世界経済に非連動。ひとり長期停滞の道を歩むだと。これに対して筆者も反論できない。なにせ、与野党対決で一国の中央銀行総裁空席もあり、というような国なのだから。G7先進国蔵相中央銀行総裁会議出席の資格をはく奪されても文句言えないよ。

そんな国の通貨の価値が上がるという現象は、円が買われるというよりドル売りのエネルギーが循環物色で出遅れ感のある円に巡ってきたということだろう。ゆえに、NYなどでは、いよいよドル売りの波も最終局面かというような議論さえ見られる。

ドルに対しては全員弱気、金に対しては全員強気。市場参加者が同方向を向いたときにマーケットは反転するという経験を少なからず見てきた筆者には、どうも気になる現象である。それでも、当面は素直にモメンタム(相場の勢い)についてゆくけどね。

Buy and forget(買って忘れる)ことが出来ないひとは、出口戦略もボチボチ考えておきましょう。