豊島逸夫の手帖

Page1710 魔の1時間 株安、円106円へ急騰

2014年10月14日

大引けを挟み相場の景色が変わった。
ニューヨーク株式市場では、ダウが引け前1時間に突然ダウ200ドル以上の急落。
それを受けて、引け後の1時間で、円相場が107円の大台割れ。13日の円相場は総じて107円台の動きで強含みであった。107円10銭を割り込む局面もあり、その後107円50銭台にまで戻す局面もあり、とりあえず107円台は維持していた。
しかし、突然の株急落が、「逃避通貨」としての円へのマネー流入の誘因となった。

では、そもそも、「魔の1時間」におこった株急落の要因は、といえば、特にない。市場のセンチメント悪化としかいいようがない。
コロンブスデイの休日で、それまでさしたる動きもなく、このまま大引けか、と思われた瞬間の出来事。投機筋からみれば、市場の集中心が途切れがちな時間帯を狙い、一押しを仕掛けやすい地合いではあった。
テクニカル面も悪かった。S&P500株価指数は200日移動平均線を割り込んだ。同株価指数の変動率から市場の不安感を表わすVIX指数は、13日にも急上昇。21台から24台まで続騰している。今年は一時10台まで下がったことを思えば、倍以上の上げだ。

リスクオフを引き起す要因といえば、地政学的リスクだが、中東関連も香港も織り込み済みで、市場を動かす材料としては陳腐化している。あえていえば、「エボラ・ショック」が挙げられようか。米国内で初の院内感染症例が報じられたことが、米国内での不安感を高めていた。その不安感がマーケットにも伝染したことは否定できない。

円相場に関しては、想定内の動き。本欄9日付け「円安の頭を抑えるIMFとFRB」に、「当面の戦場は110円の攻防から、107円割れを試す方向にシフトしてゆく。米国利上げを織り込みつつあった市場だが、FRBとIMFにより、一時休戦を強いられた」と書いた流れは変わらない。
即ち、IMF(経済成長予測引き下げ)ショックと、FOMC議事要旨で明らかになった「欧州経済減速とドル高」の影響懸念の共振現象である。そこに、「世界景気減速」を連想させる原油急落が同時進行。原油安がもたらす「実質減税効果」のマクロ的プラス面は無視されている。

さて、この株安、円高は、どこまで続くか。
結論からいえば、リスクオフという現象に持続性はない。
中期的に、ドル高の背景にある主要国金融政策の方向性の違いという構造要因にも変化はない。即ち、量的緩和について、終了の米国、真っ只中の日本、検討中の欧州という「軌道のズレ」である。
ヘッジファンドの円売りポジション買戻しもやがて一巡する。次の一手は、やはり、再度、円売りの仕掛けとなろう。
円安調整局面も、野球に例えれば7回裏。106円台でもう一波乱がドル売りクライマックスとなりそうだ。

金はドルとの逆相関を強め1230ドル台まで急反発。円高、金高の展開。
プラチナは1260-70台を維持。南アで鉱山事故程度の話も先物市場では買い材料視されて囃される。
毎度、同じこと書いているが、金は長期的には特に円建てでは底値圏。ドル建てでは1200ドル割れも再度あろうが、そのときのドル円は110円前後となろう。
プラチナは1200ドル前後拾ったけど、ボラティリティーが激しいので、一旦、戻したところで売り払いたい気持ち。
金は長期保有。プラチナはトレーディングするメタルとの基本スタンスも変わらず。

なお、1200ドル割れでの新興国現物買いはインドで底堅く、中国はイマイチ。ムンバイやドバイの現地プレミアムは1オンス10ドル以上だけれど、上海は4-5ドル程度。

さて、週末はFP勉強会。先日のFP協会千葉支部の柏に引き続き、船橋だった。FPの人たちも案外、金のことは知らないので、これは自分のミッションと思って勉強会講師やっている。FP協会鹿児島支部という遠いところからも依頼が来た。

そして今日の写真はレアのハンバーグ。京都のミクニで食した。
(カウンター越しの何センチだか忘れたけど、とにかく分厚いイチョウの一本木の白板が印象的だった)

1980a.jpg1980b.jpgどうもNY出張以来、肉食系になっている(笑)。
草食投資隊だったはずがね~~Once a dealer, always a dealer
いったん、ディーラーになると、一生、抜けられないという英語圏市場での言い回し。リスク志向がしみついてしまったのか。
これはヤバいと自戒・述懐。

最後に、今週号の日経ヴェリタスの筆者コラム「逸's OK」には「女性登用、数値化だけでは。。」と題して、アベノミクスの女性活用についての意見を書いた。

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