豊島逸夫の手帖

Page1711 コモディティーレポート 原油80ドル接近、下値の目途は?

2014年10月15日

中国・欧州の原油需要は減退。OPECは減産合意に難渋。米国シェールオイルは増産。
IEAは、今年の原油需要予測を約22%切り下げた。
この需給の緩みを背景に、投機マネーの原油先物売りは加速。遂にWTIは82ドルを割り込み、ブレントも85ドル台に沈んだ。どちらも14日は3.8ドル前後(4%以上)の下げである。
テクニカルにみれば、WTIが82ドルを割り込むと、77ドルが視野に入る。
需給から下値の目途を探ると、シェールオイルの生産コストが、今や、新たなベンチマークとなりつつある。
そのコストは、未だ生産初期段階ゆえ、75ドルから85ドルのレンジに割れる。
IEAは9月の月例レポートで、「殆どのシェールオイル生産は、80ドルでも採算にのる」と記した。
競合関係にあるシェールとOPECが安値にどこまで耐えられるか。共倒れ回避まで我慢比べとなれば、短期的に更に価格下落が加速することになる。

いっぽう、中長期的にはシェールからみた原油価格の下値目途は75ドルから80ドルのレンジとなりそうだ。このレンジの中で、NY原油先物市場の売り手が買戻しに廻った時点が、下値となろう。

なお、金価格も世界平均生産コストの1205ドルを一時割り込み、1100ドル台に突入した。しかし、その後、リスクオフの展開となり、相対的安全資産として米国債とともに買われ1230ドル台まで戻した。(米国10年債利回りは2.2%台まで下落した。)
とはいえ、中期的には、これまで下値を支えてきた中国需要の低迷により再び1200ドルを割り込む局面も視野に入る。しかし、生産コスト割れの価格水準は長続きしない。既に、金鉱山の一部には、減産の動きが見られる。

原油も金も、生産コストを睨みつつ、生産者の我慢比べがしばらく続きそうだ。新たな需給均衡水準を模索中の段階で、一段の下げも見込まれる。
いっぽう、長期に目を転じれば、底値圏には接近しつつあるといえよう。

昨年末、週刊ダイヤモンドに2014年相場予測で原油100ドル割れと書いたときには(写真添付)、「随分弱気ですね」と言われたほど、地政学的リスクなどで高値予測が多かった。それが、弱気派の私の見通しでさえ、20ドル近く下振れしている。今年に入り、OPEC総会の開催されているウイーンを訪問したときに、OPEC団結力の脆弱さを痛感して、更に下値見通しを引き下げてはいたけどね。

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