豊島逸夫の手帖

Page1721 米量的緩和終了、円安・株安・金安の初期反応は続くか

2014年10月30日

米量的緩和終了直後のNY市場の反応は、株安、債券安、円安のトリプル安だった。
しかし、これは、あくまで初期反応と見るべきだ。
円相場は109円近くまで円安が進行したが、このまま110円まで突っ走る状況ではない。
米株価は下がったが、持続的下げの可能性は薄い。
金も再び1210ドル台まで売られたが、このまま1100ドル台に突入するほどのインパクトはない。

ここで、FOMC声明を精査してみよう。
市場が最も注目した点は、「労働市場の未活用」(働きたいのに働けない人が多い状況)についての表現だった。前回までの、significant(かなりの)という強い言い回しから、diminish(減少しつつある)との単語に置き換えられたのだ。
イエレン氏は、雇用統計について労働参加率や賃金などの「質」にこだわる、とされてきたが、今回は素直に大筋改善を評価したといえよう。
こうなると、「早期利上げ説」が市場では優勢となる。

株式は当面利上げ警戒モードから未だ脱することが出来ず、外為では金利差要因からドルが買われ円は売られる展開となった。
しかし、声明文では、ゼロ金利を「相当期間」維持するとの表現が残った。事前予測では、これが外されるとの見方が多かったので、意外感が市場には残る。
この点を重視すれば、利上げは未だ先ということになる。

更に、インフレ率に関しても、微妙な表現ながら、「市場のインフレ期待は若干下落」として、ディスインフレ傾向から脱しきれていないことを示唆している。となると、ここでも、早期利上げはしにくい、ということになる。
「市場では今回の声明はタカ派的」とされるが、「ハト派色が薄まった」程度と見るのが現実的であろう。

ゆえに、初期反応では、「早期利上げ」が重視されて、株が売られ、ドルは買われ、円は売られたが、時間の経過とともに、「ゼロ金利継続」「ディスインフレ続く」との冷静な見方がジワリ浸透するだろう。
円安は109円まで接近したが、このまま110円を突破するほどのインパクトはない。声明直後に動いたのは、プログラム・トレードゆえ、いずれ、円売りを買い戻すことになろう。量的緩和が終了して、市場の焦点が利上げにシフトする市場の底流を見れば、中期的円安に変わりはない。しかし、今回の声明文による円安の動きは、限定的にとどまるだろう。

株式も同様で、とりあえずは売られたが、中期的には「米労働市場改善を、質にこだわっていたイエレン氏も公式に認めた」ことを素直に評価してゆくだろう。

金価格も「利上げ問題」にシフトする中期的トレンドの中では、再び1100ドル台まで下がるであろう。しかし、今回のFOMC声明の影響に限定すれば、ここまでの下げで充分と思われる。なお、金が1100ドル台に下がるときは、ドル円も110円を超える円安になっているだろう。円建て金価格は依然下げにくい。底値圏にある。
プラチナは金に連れ安となったが、下げは限定的。1260ドル前後を維持している。

総じて、今回のような大きなイベントの直後に共通に見られる現象だが、高頻度取引がまず反応するが、リアルマネーは、ジックリ材料を点検して動くのだ。

さて、昨日は、埼玉県川口市でゴールドセミナーをやりました
郊外での試験的ケースですが、驚いたことに40席満席。鋳物の町がいまや新興住宅街になっているので、若い世代や女性が他店より多かったことが特徴です。40人程度の規模が聴衆との距離も近く、和やかに、しかも双方向に進行できますね。
それにしても、郊外にまで、金が浸透しつつあることは、心強い現象でした。裾野は確実に広がっていることを再認識しました。これまでは、セミナーといえば、大都市が多かったのですが、これからは、住宅街にまで広がる兆しを強く感じています。

ページトップ