豊島逸夫の手帖

Page1739 OPEC発の円安、120円も視野に

2014年12月1日

118円台をつけたところで、円安も一服感が強まっていた。
しかし、OPEC減産見送り・原油価格急落から生じた市場波乱が、円安を120円に向けて加速させる可能性が出て来た。

まず、原油依存度が高い資源国通貨が売られ、反対取引でドルが買われている。その際たる例がルーブルで先週9%も急落した。ナイジェリアの通貨も売り攻勢にさらされ、同国中銀は通貨防衛のための市場介入を余儀なくされている。
カナダドルとノルウエイ・クローネも売られ気味だ。
サウジアラビアやUAEなど湾岸諸国通貨にも、ジワリ売り圧力の兆しが見え始めた。

次に、ユーロ。
先週は、欧州経済関連では良いマクロ指標発表が相次ぎ、ユーロは高めに推移していた。特に先行指標として最も注目されている独・IFO景況感指数が7か月ぶりの上昇を見せたことは市場で好感された。10月独小売売上高も事前予測1.5%増を上回り、1.9%の増加を見せた。
しかし、金曜日に発表された消費者物価上昇率が0.3%の低水準に沈んだ。直近の原油急落は含まれていないので、更なる低インフレ傾向が懸念される。
そこで、欧州中央銀行(ECB)による国債購入型本格量的緩和導入観測が再び強まってきた。今週木曜日に開催されるECB理事会で、「決定」までは考えにくいが、より切迫感をもって議論されると見られる。
ユーロも先週は強めに推移したが、今週は再び売り込まれる局面もありそうだ。そこで買われる通貨は主としてドルであろう。

更に、今週金曜日には、米雇用統計発表が控える。
前回のFOMCでは労働資源の活用が改善と評価が引き上げられた。
今回の雇用統計でも改善が確認されると、早期利上げ観測が強まり、ドル高要因となる。
しかも、原油安が、車社会の米国では減税に等しい効果があり、クリスマス商戦での消費増への貢献が期待されている。「ガソリン代がういた分、外食で奮発」というような消費者心理が考えられる。

そして、日銀は、原油急落をインフレ率引き下げ要因として注目していることを明言している。10.31サプライズ緩和の引き金を引いたのも原油安であった。そこで、市場で再追加緩和期待論が浮上する兆しが感じられる。

以上の複合要因が共振現象を引き起こすと、120円を超える円安エネルギーが醸成されそうだ。

ドル高が進行すれば金は売られやすい。
特に、スイス金購入案が国民投票で否決されたことで、1150ドル台まで下げた。
円建て金価格は、円安効果で11月に上昇したが、ここにきて、ドル建て金価格下落スピードがまさり、再び下げている。

昨日の日経マネー主催セミナーでも、講演後、展示の赤いレクサスのそばで、ブログ読者たちとひとしきり質疑応答したのだけど、短期投資家の人に、「金はまだ下げ余地あるね」と語ったら、すかさず「でも、ブログで豊島さんは買いだといってるじゃないですか?」との声。
それは、短期的に下げる可能性があるけど、長期的には底値圏だよ、ということ。
我々プロだって、大底値で買って、大天井で売るなんている芸当は出来ないのだから、長期投資家には底値圏をコツコツ拾え、と言っているわけ。
聴衆にも短期、長期両方いて、それぞれに自分の視点でしか考えないから、話すほうも、語り方が難しいね。
プラチナは1200ドル割れて更に下がっている。こっちは短期も長期も買いだと思う。
昨日のセミナーは会場に真っ赤な車が置かれていて、試運転も出来る、という経済セミナーには珍しい設定だった。

2009a.jpg今週末は、その大阪篇。(本欄11月21日告知済)。
なお、2015年、金プラチナドル建て円建て予測と2020年金価格予測の数字は、今発売中の日経マネー付録別冊金特集見てね。ま、ブログに書いてきたことが背景にある予測。

さて、今週から寒さもいよいよ本格的。そしてスキー場は初雪!!
ウインタースポーツのシーズンになると、仕事などしている場合ではないのだ (笑)。
スキーのために、働いているようなもんだからね。

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