豊島逸夫の手帖

Page1745 日経CNBC出演番組Trader'sBar ここで見られます。

2014年12月9日

番組テーマは「為替、この深遠なる世界」
バーという設定で、出演するほうは(酒の飲めない私を除き、)全員かなり飲んでました!
面白い作りで私も楽しめたので、皆さんと共有します。

Uストリーム(無料配信中)
http://www.ustream.tv/recorded/56244321

さて、今日の原稿は↓
原油急落がFOMCの焦点に

「原油価格が20ドル下がると、産油国から消費国へ6700億ドル(約80兆円)の所得再分配効果がある。」
NY連銀ダドリー総裁の発言だ。
同フィッシャー副議長も、原油安を「サプライ・ショック」と位置づけ、歓迎の姿勢である。
米国はシェールオイル「産油国」でもあるが、マイナス効果は最大のシェール油田「バッケン」がある北ダコタ州などに限定される。総じて、車社会の米国にとって実質減税効果のほうが強く働く、との見解であろう。
調査機関IHSグローバルインサイトは、現原油価格水準が続くと、米国では一世帯あたりの「ボーナス効果」が、750ドル(約9万円)と推定している。

いっぽう、欧州中央銀行(ECB)と日銀にとって,原油安は悩ましい。
ドラギ総裁は、4日のECB理事会後の記者会見で「ユーロ圏の消費者物価上昇率は既に0.3%にまで下がった。目標としている2%を遥かに下回る。」と語り、その要因として、繰り返し「原油安」を挙げた。原油の輸入依存度が高い欧州にとって、原油安は朗報のはずだが、物価目標達成を重んじるECBに限っては、「熱烈歓迎」とはゆかない。
しかも、原油価格(ブレント)は4日の68ドルから、8日には66ドルまで続落している。モルガンスタンレーは2015年にブレント価格が43ドルまで下落を予測。年平均も98ドルから70ドルへ引き下げた。
市場には、デフレ回避のためのECBによる国債購入型量的緩和導入の切迫感が強まる。
日銀については、黒田日銀総裁が、10.31サプライズ緩和を説明するにあたり「原油安」の物価引下げ効果を挙げている。

原油安を大筋歓迎するFRBと、警戒するECB、日銀のスタンスの差が鮮明だ。
とはいえ、米国経済も、日欧にデフレ・マインドが強まると、「一人勝ち」の構図も危うくなる。
来週16、17日に開催されるFOMCまでに、更に原油価格が続落して60ドル攻防ともなれば、その功罪が議論されることになろう。産油量世界一のロシア経済危機というイベントリスクも無視できまい。
原油安のデメリットを懸念→利上げをはやまるリスクを警戒、などの意見がFOMC内で台頭する可能性もある。そうなると、FOMC声明文から「相当期間緩和継続」の文言が削除されず残ることになろう。
市場では、11月雇用統計大幅好転→早期利上げ観測と、原油急落→利上げ先送り観測がぶつかりあうことになる。

膨張したドル買いポジションの年内手仕舞いのタイミングを虎視眈耽と狙っているヘッジファンドにとっては、円買戻しの恰好の機会となるかもしれない。(あくまで年内ポジション調整で、新年相場では円売り再開となろうが。)
今日以降16日までの原油価格動向から目が離せない。

ページトップ