豊島逸夫の手帖

Page2793 大統領来日、問われる日本株

2019年5月27日


金市場はとかく株をライバル視するが、現実は株が上がった方が金のような新たな投資媒体について考える余裕ができるものだ。株が下がると投資家の心理も委縮する。それゆえ金市場の視点でも日本株は上がってくれた方が良い。


トランプ大統領の訪日風景が欧米メディアでも報道され、日本への注目度が高まる中で日本株に関する議論も目立つ。
ウォールストリートジャーナル紙は日銀のETF買いを詳細に紹介。日本株のリスクプレミアムは6.94%で米国の5.96%に比し高い。この傾向は過去6年間変わっていないとするニューヨーク大学教授の見解を引用している。ファーストリテイリング株の20%を日銀が保有することも引き合いに出し、FRBは日本の過ちを回避すべしと結んでいる。
この記事が話題となり、米国CNBCの人気キャスターケリー・エバンス氏は「日銀がユニクロ株の20%を保有しているって!FRBがGAPとかメイシーズの株を20%保有したらどうなるか考えられない。」と驚きの反応を示していた。「日本の債券市場も機能していない。」とも語っている。


トランプ大統領来日がこのような辛口報道を誘発していることを日本側はただ甘受するだけでは済まされない。
日本株の良い点もしっかりアピールすべきだ。


時あたかも、欧州議会選挙結果がEU断裂を露わにしている。
日本の相対的政治安定性が鮮明だ。首相3選など先進国では今や「貴重な絶滅危惧種」とさえ言われるほどだ。
しかも欧州株は国際分散運用の中で日本株とライバル関係にある。


日本株については「日本企業の多くが巨額の現金保有の上に胡坐をかいている」とも頻繁に指摘される。
ここは日本企業の自社株買い増加トレンドをきっちり知らしめるべきだろう。


筆者もニューヨークでヘッジファンドと日本株論議をするたびに、日本株についての知見の低さを痛感してきた。切ないほど日本のことを知らない。日本株が彼らの「レーダースクリーン上に無い」からだ。
それゆえトランプ大統領訪日が日本株のメリットを知らしめる良い機会にもなるのだ。

例え悪い報道でも、それがキッカケになり日本株が議論の対象になるだけでも十分に意味はある。現実は話題にさえならないのだから。ジャパンが話題にある時は構造的低インフレの代表格で引用される時が殆どなのだ。


トランプ大統領が国技館で相撲見物に入場する時、観客席からブーイングは全く聞かれなかった。なぜだ?とヘッジファンドの知り合いに聞かれた。これまでの訪問国では「ありえない風景」だと言う。筆者は「日本流おもてなし」、「国技は神聖なスポーツゆえブーイングなどは礼を失する」との日本人の価値観と説明している。
日本株を「食わず嫌い」する外国人投資家が圧倒的に多いので、この程度のエピソードでも日本についての興味を刺激する機会と感じている。


さて、実は私は朝乃山ファン!
なぜかと言えば行きつけの寿司屋、誠鮨@御茶ノ水に朝乃山が付き人たちと来るから。彼は自腹で後輩たちに振る舞っている。酒は飲まずラージペットボトルのウーロン茶をドカッとテーブルに置いて皆でガブのみだ。性格がいい奴だと感じる。この誠鮨は私が日経朝刊「交遊抄」に2回目に出た時も紹介した店だ。


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