豊島逸夫の手帖

Page2858 アラムコ東証上場急浮上

2019年9月2日

昨晩、ウォールストリートジャーナル紙が、サウジ国営石油会社アラムコがIPOの市場候補として東証が選択される可能性を報じてから、米投資銀行のジャパンデスクは大騒ぎである。史上最大のIPOは、上場条件の情報開示などがネックとなり棚上げされている間も、アドバイザーとして選ばれていた大手金融機関はアラムコとの緊密な関係維持のため動いてきた。多くの他社も蜜に群がる如く、有利な取引条件を提示してアラムコへの接近を試みてきた。サウジ政府高官と親しい元トランプ陣営高官が大手投資銀行にリクルートされアラムコとの関係を固める事例もあった。

とは言え、サウジ人記者殺害にムハンマド皇太子が直接関与との疑惑は未だに晴れず、国際的批判は依然強い。サウジマネーがクリーンと見られない状況は変わらない。大手金融機関も国際世論動向に目配りしつつ慎重に営業努力を続けてきた。サウジの脱石油長期戦略は変わるはずもない。ライバル金融機関との競争に出遅れることはだけは絶対避けねばならないとの緊迫感は継続していた。

日本市場にとっては棚ぼただが、願ってもないチャンスとなる。

仮に実現すれば、停滞している投資家の株式売買を活性化させる起爆剤となろう。特に欧米市場で、これまで殆ど無視されてきた日本株へ関心を喚起する有力な機会となることは間違いない。

既にウォール街のジャパンデスクでは急遽羽田へのフライトを予約する動きも見られる。筆者のところにも旧知の親日派の担当者が緊急訪日とのメールが早速舞い込んできた。

まだ報道の真偽は確認できていない。しかしEU強硬離脱のロンドンと政情不安の香港が候補から落ちるというストーリーには説得力がある。NYの選択肢は米国の対テロ法制により、テロ被害者の家族の要請次第でサウジ資産が凍結されるリスクがあり実現のハードルが高い。消去法で東証が残るシナリオが現実味を帯びる。

日本市場にクジラの中でも大型の新たな一頭が登場するのだろうか。

干天の慈雨への期待は高まる。

なお、アラムコの真意を深読みすると、上場候補となっていたロンドンや香港市場より原油埋蔵量などの情報開示ルールが日本の方が緩いこと。更に日本はサウジ原油購入の得意先でもあり、サウジの敵対国イランと日本の関係も視野にサウジ日本の関係強化の狙いもありそう。なお、サウジ記者殺害にムハンマド皇太子関与の疑いで国際世論の批判強いが、トランプ大統領はサウジ支持に回っている。サウジは米国武器購入の得意先でもある。

 

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