お金の使い方は
Text by

松浦 弥太郎

Yataro Matsuura

なさま、こんにちは。いかがお過ごしでしょうか。

前回は、お金と仲良しになるには、お金を大切な友だちと考えてみて、どんなふうに接したら、未来に向けて、とても良い関係を作れるのか。そのために大切なことは何か、そんなことをよく考えてみましょう。とお話しました。

「お金が悲しむ使い方をしない」。この言葉にヒントがあるように思います。なんだか、子どもじみた発想ですが、とても深い意味が隠されているのです。

さて、話を進めましょう。

それなら、お金が悲しまない使い方とは、どんな使い方なのでしょうか。

お金の使い方を大きく分けると、何かを買ったり、何かのために支払ったりという「消費」。お金を貯めるという「貯蓄」。そして、お金を運用する「投資」。その他に「浪費」という使い方がありますね。

「消費」「浪費」「貯蓄」「投資」。この言葉をじっと見つめて、お金の使い方で、どれが一番大切なのか。みなさまはどうお考えになるでしょうか。

もちろん、どれもが大切ですが、まず「消費」は、いわゆる私たちが生きていくために必要なものに対する費用ですね。

収入に対して、およそ六割が「消費」に使われるのではないでしょうか。使われ方として、八割を超えると、ちょっと注意が必要になると思います。なぜなら、他の使い方に「浪費」「貯蓄」「投資」が控えているからです。

ここで一旦、確認します。お金の使い方には「消費」「浪費」「貯蓄」「投資」、この四つがあると知っておきましょう。あたりまえのことですが、意外と自覚していない方が多いのです。

「貯蓄」はいかがでしょうか。お金を銀行などに預けて貯めておくことです。金利が低い今ではそれほどメリットはありませんが、収入のいくばくかをコツコツと貯めていくことは大切です。全体の割合としては一割くらいでしょうか。何かあった時の備えとして、 現在の年収分ほどの貯蓄があれば、きっと安心でしょう。

次に「浪費」です。「浪費」は無ければ無いに越したことはありませんが、私たちも生身の人間で、欲もありますので、どうしても「浪費」してしまうのが本当です。どうでしょう、これも一割くらい見積もっておくのが良いかと思います。無ければそのまま他の使いみちに回せば良いのです。

最後に「投資」です。ここでいう「投資」は、それによって将来、何かしらプラスのリターンがあるという使い方です。

たとえば、学びのために本を買う。スキルを磨くために体験する。健康維持のための何か。調べものや新しいチャレンジなど。そういった学びと成長のための自己投資。必要経費という考え方でも良いかと思います。

そしてまた、お金を増やすことを目的とした投資という、ふたつの「投資」があることを知っておきしょう。

収入に対して、およそ二割の様々な「投資」というお金の使い方があることが理想です。

次回以降は、「消費」「貯蓄」「浪費」「投資」それぞれの内訳と、気をつけたいこと、大切なことをお話しましょう。

それではまた。

PROFILE

松浦 弥太郎/Yataro Matsuura
2006年から「暮しの手帖」編集長を9年間務め、2015年4月、クックパッド(株)に入社。同年7月に新メディア「くらしのきほん」を立ち上げ、編集長を務める。現在は(株)おいしい健康・共同CEOに就任。
「正直、親切、笑顔、今日もていねいに」を信条とし、暮らしや仕事における、たのしさや豊かさ、学びについての執筆や活動を続ける。著書多数。雑誌連載、ラジオ出演、講演会を行う。
中目黒のセレクトブックストア「COW BOOKS」代表でもある。