お金の貯め方・使い方|資産運用 How to guide 004 | 2018.07.30
人生100年時代の資産運用[後編]
激動する時代のリスクに対応しよう
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GOLD PRESS 編集部

GOLD PRESS Editors

人生100年の間には、良いこともあれば悪いこともあるでしょう。様々なリスクに対応できる対策を準備しておきましょう──。

「人生100年時代の資産運用」と題して、前編では「収入は3つの「資金」に分けよう」という考え方を紹介しました。20年単位で人生を見つめ直し、20〜40歳と、40〜60歳というフェーズでの資産運用の考え方を説明しました。

3つの資金とは「生活防衛資金」「準備資金」「投資用資金」でしたね。

今回は後編です。60〜80歳と、80歳〜100歳のフェーズでは、お金についてどんなことを押さえておけば良いのでしょうか?

I. 本題に入る前に……

今回は60歳以降の資産運用を中心に話を進めます。ただ、現在22歳の人が62歳になった時、日本や世界はどうなっているでしょうか?

国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、40年後の2058年には国内は人口9470万人、そのうち65歳以上が全体の38%を占めるという超少子高齢化社会を迎えています。他方で国連の調査によると、世界の人口は2017年の76億人から、2050年には98億人にまで膨れ上がると推計され、この間にインドが中国の人口を抜くと考えられています。そうするとアジア経済が世界に与える影響はますます高まるはずですが、他方で日本の国際競争力は相対的に低下していくことも見込んでおかなくてはいけません。

また、日本は長く続くデフレの影響で物価が下落し続けました。現金100万円が手元にある場合、物価が下がっていく過程でその100万円の価値はどんどん増していったと考えられます。ただし、そのデフレも永遠に続くわけではありません。40年のような長い期間の間にインフレになることも想定しておきましょう。

インフレでは物価が上昇しますから、過去に蓄えた現金の価値が減ってしまいます。ですから、3つの資金である「生活防衛資金」「準備資金」「投資用資金」のバランスをとり、投資先の選定でも国内のみならず国外にも目を向けなければいけない時がやってきます。また、金(ゴールド)のような、より安全・安心な実物資産への投資も検討したいところです。

「人生100年時代」には、その100年の間に起こるかもしれない様々なリスクにも対応していく必要があるのです。

II. 60〜80歳

さて、本題に入りましょう。このフェーズでのライフイベントは次の通りです。

・子どもの進学や就職
・子どもの結婚や出産
・退職や独立
・介護

このフェーズでは、体力的にもこれまで通り働き続けるのが困難になります。また、定年という制度がまだ残っていたら、退職後も何らかの形で働き続けるのか、それとも働かずに悠々自適の生活を送っていくのかを決めなければいけません。

いつ60〜80歳のフェーズに入るのかにもよりますが、現在30代や40代の方がこのフェーズに入る時は、80歳くらいまで働くのが当たり前になっているかもしれませんね。企業人として働き続けることもあるでしょうし、自分だけの法人を設立し、同じように独立した友人・知人と仕事を回し合うこともあるでしょう。そのころには働き方も多様化しているはずです。

いつこのフェーズに入るにせよ、働き方が変わりますから収入にも変化が起きるはずです。健康なうちに旅行や趣味といった様々なアクティビティを楽しみたいとも考えるでしょう。

また、40年前の自分に起きたライフイベントを自分の子どもたちも通過しようとします。なかでも就職や結婚・出産は、子どもたちの一生を左右する大きなイベントになるでしょう。親としては少しでも力になりたいところで、金銭的な援助をできるくらいの貯えを確保しておきたいところです。

さらに、この期間には自分や配偶者の介護が現実の問題として浮上してきます。デイサービスに通うのではなく、夫婦で施設に入居するとなれば、まとまったお金が必要になります。

20代か30代から月数万円の積立投資を始めていれば、この頃には資産規模が数千万円になっていることが見込まれます。また、運用方針次第では、インカムゲインも年間数十万円から数百万円になっているかもしれません。インカムゲインは、「金融商品をもっていることで生まれる現金収入」という意味でしたね(関連記事:金融・投資用語AtoZ 今、米国ETFが人気を集める理由とは? )。預貯金であれば利子、不動産であれば家賃、株式であれば配当ですし、投資信託であれば分配金という形で定期的に得られる現金を指します。

前編で説明した20〜60歳の間は、得た利益を引き出して使うのではなく、利益をまるごと再投資して複利効果を得ようと説いてきました。ただ、このフェーズからは利益を引き出して、自分の事業や楽しみのために、あるいは子どもたちの幸せのために使うことも増えていくでしょう。

III. 80〜100歳

人生の最終盤にあたるこのフェーズ。20年もあるのですから、「終活」だけでなく、最後に思いっきり人生を謳歌したいものです。

このフェーズでは、長年あたため続けてきた夢を叶えてはいかがでしょうか。「一度でいいからピラミッドをこの目で見たい」「夫婦で豪華客船の世界一周の旅に出たい」など、費用や時間、そして体力をつかう夢もあれば、「日本一と名高いあの鮨屋で心ゆくまで美食を楽しみたい」や「自伝を書きたい」といった趣味に根ざしたものもあるでしょう。

夢を叶えようとする過程では、人はきっと笑顔で過ごすはずです。その笑顔を見つめる家族もまた、日常を笑顔で過ごすようになるでしょう。自分の日常が家族の笑顔につながる──これほど素敵な人生はないのでは?

Ⅳ. まとめ

1 “「人生100年時代」には様々なリスクが降りかかることも”
2 “60歳以降も家族の大きなライフイベントが発生します”
3 “80歳以降は人生の夢を叶えましょう”

文: 冨田秀継
Words: Hidetsugu Tomita

イラスト: 竹田嘉文
Illustration: Yoshifumi Takeda

インフォグラフィック: 金田介寿
Infographics: Kaiju Kanada