豊島さんに聞いてみた! 005 | 2018.10.30
人工知能で投資は変わる?
Text by

豊島逸夫×モリジュンヤ

Itsuo Toshima×Junya Mori

投資の専門家・豊島逸夫氏に、気鋭の若手編集者・モリジュンヤ氏が「投資の難しいこと」を伺っていく本連載。

第5回では、テクノロジーによって起きている投資の変化やその実態について触れながら、どのように投資を始めたら良いかを学んでいきます。

 

増加するフィンテックサービスたち

 

 

――ビットコインなどもそうですが、最近はテクノロジーによって金融が変化しています。スマートフォンのアプリからお金の管理や投資ができるサービスも増えていますね。

そうですね。銀行口座の入出金や残高照会もアプリから可能になりましたし、毎日のおつりを自動で投資に回すことができるサービスなども登場しています。

――AI(人工知能)を活用した「ロボアドバイザー」といったサービスも登場しています。

AIが自動で資産の運用をしてくれるというサービスですね。投資を人間に任せるのではなく、AIに任せてしまおうという動きが進んでいます。

――AIによる投資というのは、現状の精度はどのようになっているのでしょうか。

AIによる投資は、当たることもありますが、外れている場合もまだ多いですね。ただ、AIが投資を担って外したのであれば、責任逃れもできます。AIをスケープゴートにする企業もいますね。

 

 

 

テクノロジーの進歩による懸念も

 

――人間が担当していないから、外れた時の責任の所在が少し曖昧になっているんですね。

確かに、自動で売買してくれるので、投資を始める敷居を下げてくれたと思うのですが、いくつかの問題が出てきているなと。

――他にも問題は生じているんですね。具体的には、どのような問題なのでしょうか?

AIを活用した超高速な自動取引は、1000分の1秒を争うようなスピードで行われています。

――1000分の1秒とは、想像もできない単位です。

大手投資銀行では1000分の1秒という争いに勝つため、政治の街であるワシントンと、金融証券の街であるニューヨーク間で、どれだけ真っすぐな回線を引けるかを売り文句にしています。それは、大統領が何か声明を発表したら、すぐに市場へ反映するため。

つまり、ビルやスーパーマーケットなどの障害物で回線が曲がってしまうと、そのわずかなスピード差で負けてしまうんです。

――それだけの早さで取引が行われると、どういった問題が生じるのでしょうか。

例えば、政治的な出来事などが起こると、大口の投資家による売りがあります。すると、AIが瞬間的に反応して株価が一瞬で急落してしまうケースも見られるようになりました。

――フラッシュクラッシュと呼ばれる現象ですね。

はい。このような現象が頻繁に起こると、人々が市場の変化を信用しなくなる可能性もあります。それでは本当に大事な問題があった時に対応できませんから、海外ではAIの規制論も出始めています。

――まだまだAIは発展途上なんですね。

そうですね。AIはまだ未熟な存在なので、自分の目で見極める力を持つことも大切です。ただ、テクノロジーは投資に対する敷居を下げてくれたり、より便利にしてくれていることは間違いありません。少しずつ投資に触れてみて、理解を深めていくのは有益でしょう。

豊島さんの金言!
“AIはまだまだ未熟なので、投資の判断は自分の目で見極める力を”

Illustration : Damien Florebert Cuypers
Artist Management:Agent Hamyak

PROFILE

豊島逸夫
三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され、外国為替貴金属ディーラーとなる。チューリッヒ、ニューヨークの投資最前線でトレーダーの経験を積んだ後、金の国際機関ワールドゴールドカウンシルに入り、投資事業本部アジア・オセアニア地域担当本部長や日韓地域代表を歴任。金の第一人者となる。
2011年豊島逸夫事務所を設立。独立後は、活動範囲を拡大。自由な立場から、日経マネー、日経ヴェリタス、日経電子版などで、国際金融、マクロ経済評論などを行う。
オフィシャルサイト www.toshimajibu.org
モリジュンヤ(GOLD PRESS Contributing Editor)
2010年に『greenz.jp』編集部に参加。その後、『THE BRIDGE』『マチノコト』『soar』等メディアブランドの立ち上げに携わり、テクノロジー、ビジネス領域を中心に複数の媒体に寄稿。
「inquire」という編集エージェンシーの経営や、オンライン情報誌「UNLEASH」の編集長、ミレニアル世代向けビジネス誌『AMP』の共同編集長、ライティングを学び合うコミュニティ「sentence」のオーガナイザー、NPO法人soarの副代表理事などを歴任。