お金の気持ちになって
Text by

松浦 弥太郎

Yataro Matsuura

なさま、こんにちは。いかがお過ごしでしょうか。

今回は、お金持ちの人がそうであるように、お金と仲良しになるためには、どうしたら良いかを一緒に考えていきましょう。

お金と仲良しになる。もっと。

そのために、まずは自分からお金を好きになる。お金のことをもっと知りたいと思うことです。これはとても大切なことです。好きになってくれたら、自分も好きになるではなく、自分から先に好意を持つ。人間関係と似ていますね。

お金が嫌いと言う人はいないと思いますが、あえて自分から好きと言える人は少ないのではないでしょうか。

「お金が大好き!」なんて言うと、「はしたない」とか、「変な人」と思われそうですし。なんだか「下品な人」ではないかと感じます。 

それはなぜでしょう。お金は汚い。お金は怖い。お金の話は口にするべきではない。そんなお金に対するネガティブな固定観念が心のどこかにあるのでしょう。

たとえば、世の中で起きる事件の多くはいつもお金がからんでいる。確かにその通りかもしれません。私たちは、お金のあれこれを学ぶ以前に、そういったネガティブなニュースによって、お金のマイナスイメージが拭えないのです。きっと。

まずはお金とは何か、をよく理解することが大切ではないでしょうか。お金のほんとうの素顔を少しずつでも知ることで、小さな好きが大好きになり、大好きがもっと好きになるように。

お金とは、「価値の保存」と、「価値の尺度」と、「価値の交換」という機能のためにある、とよく言われますが、これは少しばかり私たちには小難しいので、ちょっと横に置いておきますね。

もう少しリアルに、私たちがいつも手にしている、お金とは一体何かと考えてみましょう。

一番わかりやすくて、本質を言い得ているのは、お金とは「友だち」という言葉ではないでしょうか。

お金と仲良しな人は、お金という友だちがたくさんいる。お金と仲良しではない人は、お金という友だちが少ない。お金と仲良しな人は、お金を大切な友だちとして好きになり、どうしたらお金という友だちが喜んでくれるのか、どうしてるんだろうと、いつも気にかけ、お金という友だちが悲しむことは決してしないように気をつけ、お金という友だちにいつも感謝し、自分をもっと好きになってもらえるように努力をする。お金と仲良しな人は、こんなふうに、お金に思いをはせているのです。ほんとうの友だちのように。

一番大切なことは、自分がされたら嫌なことは、お金に対しても決してしないことです。お金を使うとき、もし自分がお金だったら、こういう使い方をされたら嬉しいかどうか。もし自分がお金だったら、どんなふうに接してもらえたら嬉しく思うのか。それをよく考える。お金の気持ちになって。

いかがでしょうか。お金という一人の友だちの気持ちや感情を深く理解し、誠実に付き合う。そして、どうしたら、あなたを好きであるという自分の気持ちを伝えるのか?

そこにこそ、今日からすぐにできる、お金と仲良くなるヒントがあるのです。

友だちと仲良くなる。そのために自分ができる一生懸命とは何か?

それをよく考えてみましょう。

お金の気持ちになって。

PROFILE

松浦 弥太郎/Yataro Matsuura
2006年から「暮しの手帖」編集長を9年間務め、2015年4月、クックパッド(株)に入社。同年7月に新メディア「くらしのきほん」を立ち上げ、編集長を務める。現在は(株)おいしい健康・共同CEOに就任。
「正直、親切、笑顔、今日もていねいに」を信条とし、暮らしや仕事における、たのしさや豊かさ、学びについての執筆や活動を続ける。著書多数。雑誌連載、ラジオ出演、講演会を行う。
中目黒のセレクトブックストア「COW BOOKS」代表でもある。