アルキメデスと金の王冠

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アルキメデスといえば、紀元前三世紀、古代ギリシア時代に活躍した科学者として歴史に名を遺しています。

シチリア島のシラクサに生まれ、当時学問の中心地であったエジプトのアレクサンドリアに留学して幾何学などを学び、その後帰郷し、自然法則の発見とその応用に生涯を捧げました。数々の業績を遺し、当時から「シラクサのアルキメデス」としてその名を馳せていたようです。いまでこそよく知られている「テコの原理(重心の概念)」「球体の表面積・体積の計算」「円周率の計算」「浮力の原理(比重の概念)」などは、彼が発見した科学法則でありアプローチです。現代数学のノーベル賞といわれるフィールズ賞の記念メダルに、アルキメデスの横顔と球体が刻まれているのも頷けるというものです。

偉大な業績を遺した人につきものですが、彼にもさまざまな逸話が残っています。なかでも有名なのが、「金の王冠」に関するものでしょう。ある時、シラクサの王ヘロンが、金の王冠を作ることを思い立ちました。金細工師を呼んで金塊を渡し、王冠は立派にでき上がりました。しかしその後、金細工師について芳しからぬ噂が広まりました。「混ぜ物をして王冠を作り、預かった金塊の一部を盗んで私腹を肥やしたそうだ」という噂です。金細工師の羽振りが急に良くなったためか、もともと良からぬ評判の持ち主だったのか、どちらかだったのでしょう。

そこで王は、アルキメデスを呼んで、王冠を傷つけることなく、混ぜ物がしてないかどうか調べるように命じました。さすがのアルキメデスも、どうしたものか考えあぐねていましたが、ある日、風呂に入ったところ、水が湯船からあふれるのを見た瞬間、王冠の純度を調べる方法がひらめいたそうです。アルキメデスは、王が金細工師に渡したのと同じ重量の金塊を用意し、金塊と王冠のそれぞれを、水を張った容器に入れました。すると、王冠を入れたときの方が、金塊を入れたときよりも多くの水があふれたそうです。素材も重量も同じであれば、体積も同じはずだということから、王冠には混ぜ物がしてあると結論したのです。

アルキメデスはこの時、浮力の原理と同時に、比重の概念も発見していたことになります。天才のヒラメキとはこのようなものなのでしょうか。それにしても、金細工師にそれほどの危険を冒させるほど金の価値が認められていたこと、さらに当時すでに金属製錬の技術やノウハウが相当に進んでいたことを、この逸話は示していて興味がつきませんね。