ディーリングの用語に、ショート、ロングという言葉があります。ショートは「売り越し」を意味し、売り越しの状態をショート・ポジションと言います。一方、ロングは「買い越し」を意味し、買い越しの状態をロング・ポジションと言います。
ディーリングと呼ばれる活動は、つまるところ相場の動きを予想して、「売り越し」あるいは「買い越し」の状態を意図的にとって、利益を生み出すことを目的としたものです。したがって、予想どおりに相場が動いた場合には利益を生み出しますが、予想がはずれた場合には損失が発生することになります。たとえば先々、金価格が下がると予想している場合、ディーラーは通常ショート・ポジションをとります。そして実際に下がった場合には、その時点で「買い」を入れることで利益が確保されます。ところが、予想に反して相場が動き出す(価格が上がる)場合も当然あります。その場合、ショート・ポジションのままでは大きな損失が発生する可能性があります。そこで、ショート・ポジションを低くするために「買い」を入れることになります。これを「ショート・カヴァー」 と呼んでいるのです。