豊島逸夫の手帖

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金の第一人者として知られる国際金融アナリスト豊島逸夫氏のブログを掲載します。
なお、本ブログの内容は豊島逸夫氏ご本人の個人的見解であることをご了解の上、閲覧ください。

豊島逸夫氏のプロフィール

豊島逸夫氏近影
豊島逸夫事務所代表。
1948年、東京都生まれ。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現三菱UFJ銀行)を経て、スイス銀行で外国為替貴金属ディーラーとして活躍。2011年9月までワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)の日本代表を務める。独立後はチューリッヒやニューヨークでの豊富な相場体験と人脈をもとに、自由な立場から金市場や国際金融、マクロ経済動向について情報発信を行うとともに、“金の国内第一人者”として金投資の普及に尽力。投資の初心者にも分かりやすいトークや文章にファンも多い。得意分野はスキー系、鮨スイーツ系、温泉系。

最新記事

利下げ回数より次期FRB議長候補、先走るNY市場

2025年6月20日一昨日開催されたFOMCについて、筆者が感じたことを以下に述べておく。今回のFOMC後のパウエル議長記者会見は、想定された質問に想定されたパウエル議長の答えばかりが目立った。年内利下げ予測に関して「利下げ無し」が前回の4名から7名に増えたことが目を引いた程度。そもそもトランプ氏の発言ひとつで、経済見通しも大きく変わるので、ドットチャート(FOMC参加者の政策金利予測の分布を示す...
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プラチナ続騰

2025年6月19日このKITCOグラフはプラチナの5年価格グラフ。久しぶりに1300ドルを超えた。昨晩、NYの連中と話したのだが、金価格が3500ドルの上値抵抗線を前にやや伸び悩み気味なので、出遅れ感があるプラチナが投機マネーの買いの標的になっているという。確かに投機筋のマネーを100万ドルとすれば、プラチナの方が重量ベースで3倍近く買えるのだから、「ちょっとプラチナで遊んでみようか」という気に...
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トランプ氏の目論見、中国経済狙い撃ちのオイルショック

2025年6月18日 米国はイラン産原油の禁輸措置という経済制裁を課している。そこでイランは船舶間の通信設備を持たないタンカーを用いて「影の輸出」を継続している。その90%は中国向けだ。足元を見られ、大幅なディスカウント価格をイランは受け入れざるを得ない。但し、中国側も原油輸入のイラン依存度が高いので、この「値引き価格」はジワリ上昇中だ。とは言え、この「影の原油売買」は人民元で決済されるので、イラ...
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市場が正しいのか、中東専門家が正しいのか

2025年6月17日 上の72時間グラフは、中東戦争勃発で国際金価格(スポット)がどう動いたかを雄弁に物語っている。 まず、すわ有事の金だ、買いだと急騰。赤線が3450ドル近傍まで上昇。この時、筆者は「これは3500ドル突破だな」と思った。メディア取材にも「異次元の中東発地政学的リスク、3500ドル必至」とコメントして、実際に活字で流れた。 ところがその後、原油・株価が反発・上昇に転じた辺りから様...
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イスラエル、イラン核関連施設空爆、有事の金

2025年6月13日 イスラエルが遂にイラン核関連施設を攻撃した。絵に描いたような有事の金買いで、国際金価格はスポット3420ドルまで急騰。原油価格も一時6%高。 但し、有事の金買いは高値掴みのリスクがあるからご用心。まぁ、今回は中央銀行の買いなど強い買い材料が同時進行しているので、金価格の上昇トレンドは継続するであろう。 仮に有事の金買いだけであれば、プロは吹き値売り。事前に「噂」で語られた段階...
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プラチナの反撃はホンモノか  

2025年6月12日本日の3日間価格グラフはプラチナである。1270ドルまで急騰中だ。長らく900~1100ドル程度のレンジで推移してきたプラチナが上放れた。本欄で書いてきたように、筆者はプラチナに愛着があるゆえ、ハッピーなのだが解説役に回り冷静に見ると、投機主導の上げで素直に喜べる実態ではない。主因は中国の買いとされる。確かに、金に比し割安感があるプラチナジュエリーは一部の中国人富裕層に人気だ。...
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日米ともに個人消費を支える「団塊の世代」

2025年6月11日 NY市場で著名なアナリストのヤルデニ氏がトランプ関税をものともせず、旺盛な個人消費意欲を見せているのがベビーブーマー世代だと語った。日本流に言えば「団塊の世代」である。同氏は自らが同世代であり、関税で物価が上がっても消費意欲は衰えず、米国経済の下支え役になっていると述べる(米国GDPに占める個人消費の割合は7割近い)。 筆者も団塊の世代だが、確かに同年代の知り合いたちは自分の...
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ロンドン金市場の地盤沈下

2025年6月10日 金の世界でロンドンと言えば、ロスチャイルドの「黄金の間」で毎日2回行われる「gold fixing 金建値決め」が有名であった。世界中から金現物の売買注文がロンドン市場の5社に集まり、売り・買いの注文が飛び交い、当日の建値(午前1回、午後1回)が決まった古き良き時代であった。 しかし、このロンドン金市場のギルド的側面が問題視され、インターバンクの金売買に変質していった。国際金...
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「投資」を嫌う20代

2025年6月9日日経記事によると、リスクのある投資に抵抗感がある人たちが20代の若者で目立つという。金融庁によると20代のNISA口座数は287万口座と、80代以上や70代に次いで少ない。その理由を調べると「資産が減る可能性があるから」、「手続きが面倒だから」、「何を選べば良いか分からないから」、「投資へのイメージが悪いから」、「値動きを気にして疲れそうだから」などなど。そこで生命保険会社が「若...
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米中対話で、金と銀&プラチナの違いが鮮明に

2025年6月6日 昨晩は、まず中国側の発表で習近平氏とトランプ氏が電話で会議中と報道。米国側も認め、市場では重要案件として材料視された。 レアアースという切り札を握り、既にレアアース不足による自動車生産ストップの事例も出始めた折ゆえ、中国側のペースと見られた。 そこで貴金属市場では中国需要で育つ銀とプラチナが買われ、米中緊張エスカレートで育つゴールドは売られた。折から上昇中だったNY金は暫時頭を...
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