豊島逸夫の手帖

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金の第一人者として知られる国際金融アナリスト豊島逸夫氏のブログを掲載します。
なお、本ブログの内容は豊島逸夫氏ご本人の個人的見解であることをご了解の上、閲覧ください。

豊島逸夫氏のプロフィール

豊島逸夫氏近影
豊島逸夫事務所代表。
1948年、東京都生まれ。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現三菱UFJ銀行)を経て、スイス銀行で外国為替貴金属ディーラーとして活躍。2011年9月までワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)の日本代表を務める。独立後はチューリッヒやニューヨークでの豊富な相場体験と人脈をもとに、自由な立場から金市場や国際金融、マクロ経済動向について情報発信を行うとともに、“金の国内第一人者”として金投資の普及に尽力。投資の初心者にも分かりやすいトークや文章にファンも多い。得意分野はスキー系、鮨スイーツ系、温泉系。

最新記事

中国の金戦略

2024年7月25日 以下は2023年1月12日付け本欄の採録である。日経新聞が中国の金事情を現地取材3回連続で報じているので、ここに改めて筆者の見解を記しておきたい。 長年の読者であれば、筆者は長期的に中国の公的金保有が5000トンに達すると予測してきたことを思い出すであろう。長期的に金価格3000ドル論の根拠として位置付けている。その背景として中国は金を通貨政策と資源政策の両面で重視している。...
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ロイター調査、ハリス氏 44:42 でリード

2024年7月24日 米大統領選はメディアも金融業界もハリス支持に回るところが多い。今朝はロイター電が「ハリス氏44対トランプ氏42」と発表。トランプ嫌いのエネルギーをハリス氏が一気に集めている感あり。政治献金もジョージ・ソロス氏とかカリスマ投資家が行っている。フーム、ひょっとしたら、ひょっとするかな。 NY金はどちらに転んでも上がると筆者は予測している。どちらの候補もバラマキ全開になるは必至。財...
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バイデン撤退、市場には戸惑い感も

2024年7月23日 遂にバイデン大統領が自ら二期目を諦め、事実上ハリス副大統領指名となった。市場の受け止めは複雑だ。トランプ当確と決めつけて、所謂「トランプトレード」に走っていたのだが、ハリス氏となると年齢も59歳で一定の女性票や黒人票は見込める。今度はトランプ氏の高齢が問題視されるかもしれない。基本的にトランプ当確は変わらないとしつつ、「いやいや選挙ばかりは結果がでるまでどうなるか分からない」...
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トランプに振り回される金価格

2024年7月19日 「パウエルFRB議長は、やるべきことをやっている限り、クビにはしない。但し、利下げを大統領選挙前に開始すべきではない(選挙で現職有利になるから 筆者注)。一般論として金利は低い方が良い。利下げはすべきだ。」 次々に市場を襲うトランプ発言の一例だ。市場は9月利下げを見込むが、トランプ氏は大統領選11月以降にやれという。FRBは政治的独立性が保証されているが、一切お構いなしで中央...
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トランプでドル高かドル安か、金の動向に影響

2024年7月18日 ウォール街では既にトランプ当確を前提に議論が深化しつつある。そこで円安と為替介入に話題を振ってみると意見は分かれる。標準的シナリオとしては、2025年に失効するトランプ大型減税を維持。財政赤字が膨らみ、ドル金利には上昇圧力がかかる。財政政策要因のインフレ再燃となると、FRBは利下げどころか利上げ再開に追い込まれる可能性もある。外為市場ではドル高基調となろう。そうなると米国製品...
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NY金市場最高値更新 パウエル・トランプの合作

2024年7月17日 NY金が史上最高値を更新した。2500ドルも視野に入る。 今回の背景だが、まず米インフレ指標が穏やかな下落傾向を見せ、パウエルFRB議長の発言も9月利下げに向け一歩踏み込んだ。曰く「物価目標の2%に達してから利下げしても遅い」。NYエコノミッククラブでの発言だ。 次に、トランプ氏暗殺未遂でトランプ氏再選の可能性が高まり、中国・ウクライナ対応など世界中に地政学的リスクをばら撒く...
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トランプ円安のリスク

2024年7月16日 前大統領は転んでもタダでは起きない。顔面に血が流れ、SPに抱きかかえられても、聴衆に向け手を上げて顕在ぶりをアピールした。背景には青空に星条旗が翻る。このAP写真は結果的に見事な構図で今後歴史に残ると言われている。これを千載一遇のチャンスと捉え、トランプ氏は複数の米紙と単独インタビュー。「分断された社会をまとめるのは、神から与えられた私の使命」と言ってのけた。 もはや市場には...
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NY金2400ドル台乗せ

2024年7月12日 米CPI減速が明らかになり、同統計発表直後からNY金は2400ドル超に急伸。ドル円は介入もあり、一時は157円台までの円高。 日本の介入担当金融当局の諸氏もパウエル議会証言を見ていたようで、市場の流れが9月利下げ→円高へ短期的に傾いていることを察知したのか。円安に一石という意味ではマーケットの空気を読んだ適切なタイミングと評価する。但し介入効果はやはり限定的で、前回同様「モグ...
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パウエル議会証言2日目

2024年7月11日 今回の議会証言でも、パウエル氏は市場を動かすような重大発言は控えると、筆者はタカをくくっていた。昨晩の二日目も一応見るだけは見ておくという気持ちで、深夜2時間半生中継に渋々付き合った。確かに重大発言はなかった。しかし彼の本音が出た。「インフレ抑制と雇用維持というふたつの政策目標の同時達成が果たして可能か、考えだすと眠れない夜もあった。しかし今は可能だと自信を持っている。」これ...
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パウエル議長議会証言

2024年7月10日 今週火、水曜日に米議会上院・下院で開催される恒例のパウエル議長公聴会での議会証言が、今週の注目材料のひとつとして注目されている。 昨日が一日目。例によってパウエル議長が被告席みたいなところに座り、囲むように議員が10名以上入れ替わり、持ち時間5分で質問を浴びせる。そもそも議員の多くは経済に疎いので、選挙区向け演説になる傾向がある。それでも中には適宜を得た質問も飛び出すので、米...
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