2025年6月17日
上の72時間グラフは、中東戦争勃発で国際金価格(スポット)がどう動いたかを雄弁に物語っている。
まず、すわ有事の金だ、買いだと急騰。赤線が3450ドル近傍まで上昇。この時、筆者は「これは3500ドル突破だな」と思った。メディア取材にも「異次元の中東発地政学的リスク、3500ドル必至」とコメントして、実際に活字で流れた。
ところがその後、原油・株価が反発・上昇に転じた辺りから様子が不可解になった。日経平均も上がり中東緊迫なのに「謎の株高」と言われたほど。国際金価格も3500ドルどころか3300ドル台まで急反落。
結論から言えば、今回のイスラエル・イラン戦争は、このまま続けばイスラエルの攻撃が断然有利、そこでイランが核開発につき妥協の道を探るのではないかとのウォールストリート紙の観測記事が材料視された。戦争がこれ以上エスカレートせず、ディエスカレートに向かうとの見方が強まった。そこで市場のセンチメントも一気に「解決の道を模索」とのシナリオに傾いたのだ。
とは言え、鍵を握るのはトランプ氏。米国はイスラエル支持だが、イランとの核協議も交渉を絶ちたくない。背後にはロシアや中国の影がちらつく。ここでトランプ氏が、どのように動くのか現時点では未知数だ。トランプ氏がイランを突き放せば、戦況は再び悪化。金市場も売りから買いに大転換は必至。いずれも現時点の観測であり、筆者もどちらに転ぶのか読めない。
但し、国際金価格が3300ドルを割り込むことはないであろう。
中東だけが金上昇の理由ではないことは、本ブログ読者ならおわかりのはずだ。
今週はFOMCもあるが金価格への影響は軽微と思われる。FRBも「読めない」のだ。
そしてトランプ氏自身も朝令暮改と言われるとおり、自分の仕掛けの影響がどうなるか「読めない」のだ。
国際金価格については、3300ドルは固いゆえ、そうジタバタすることもあるまい。3500ドル突破の理由など、これからいくらでも出てくるよ。