豊島逸夫の手帖

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ベッセント財務長官の本音、日米合意の舞台裏

2025年95

トランプ関税乱発が大統領の越権行為と訴えられ、一審も二審も支持した後、最高裁に持ち込まれたことは既に書いた。ここで問題は、最高裁もトランプ色が強いとは言え、決定に時間がかかるということ。来年に持ち越される可能性もあり、トランプ氏もイライラ気味。トランプ組の若頭とも言えるベッセント財務長官も、米国財政の司令塔としてやきもき。関税収入を膨張した財政赤字の穴埋めに当て込んでいた。仮に、来年になって最高裁の司法判断が関税無効となると、それまで徴収した関税の収入を払い戻さねばならない。この窮状に早速、関税交渉相手諸国に足元を見られ始めたと呟いていることが報道された。このタイミングでの日米関税交渉決着。日本側にはラッキーな展開。日本は重要な同盟国でもあり、この際、日本は片付けておいて、他国との関税交渉に集中した方が得策と判断したのであろう。石破政権にとってはタナボタだね。

一方、大統領のFRBへの政治的介入は、露骨でクックFRB理事を住宅ローン不正疑惑で起訴。その疑惑とやらは、重箱の隅を突いた程度の話。それでも有罪となれば、FRB理事解任の条件を満たすことになる。クック氏側は猛反発。同氏は初の黒人女性のFRB理事として注目された存在。幼児時代に白人に虐められた時の傷跡が、今も生々しくカラダに残っているという。かと思えば、ロシア語も堪能という才女。「ダイバーシティー=多様化」の時代を象徴するが如き存在だ。トランプ氏への風当たりは益々強まりそうだが、冷静に見ればFRB乗っ取り作戦が着々進行中と言える。市場も、その可能性を織り込み米国売り(米株、米ドル、米国債の同時売却)に身構えている。そこで金が安全資産として買われた訳だが、昨晩はやっと金価格急騰が一服。上げが過熱気味だった上に、今晩、最重要経済指標である雇用統計発表を控える。

なお、プラチナも大幅に連れ安となった。やはり逃げ足は速い投機マネーだね。もともと投機的地合いを冷ややかに見ていた筆者には、当然の利益確定売りの連鎖と映る。しかし投機マネー側も、これで引き下がるようなこともあるまい。因みに、ゴールドマンサックスは米国債の民間保有分の1%が金にシフトすれば、金価格が5000ドル!との予測を正式に発表した。

本稿執筆時点(午前11時)では、ロコロンドンで3550ドル。


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NYのファンドと話していても、代替投資(オルタナティブ投資)として、金買いの事例が増えている。ポートフォリオ運用の中で、ひとつのアセットクラスとして金が定着したと言えよう。

なお、北京での中国・ロシア・北朝鮮のトップ集結も、潜在的地政学的リスクとしてジワリ効いている。

さて、今日の写真は札幌郊外のゴルフ場。ススキが本格的。当初の計画では9月初旬に帰京の予定であったが、とてもそんな気にはなれないね~。

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2025年