2025年8月22日
日本の善良な市民が生命保険をかけるという行為は、概ね子供や孫たちへ少しでも資産を残す、或いは負の遺産(借金)を少しでも減らしたいとの切実な願いがあるからであろう。
対して生命保険会社は顧客の死までの長い期間を通じ、払い込まれた生命保険料を長期運用して、生命保険料支払いの時に備える。そこで20年国債とか40年国債など超長期国債をセイホは購入・保有してきた。
しかし、ここにセイホ独特のリスクがある。20年後、30年後、40年後の長期期間のある年に特殊要因で死亡者が急増するような事態が生じた場合、セイホは一挙に大量の超長期国債を売却せねばならない。国債は売られると国債の価格が下落して、保有者に含み損が発生する。同時に円金利も急上昇する。その結果、最悪の場合にはセイホが巨額の損失を計上する羽目になり、生命保険支払いに支障が生じるリスクがあるのだ。それゆえ金融庁はセイホの国債保有状況を監視している。近年は日本国債の保有を減らすべく指導してきた。その結果、日本国債の最大の保有者は実は日銀という、これまたどう見てもヤバイ事態が生じている。
加えて目下の問題は日銀が利上げするケース。
金利を引き上げれば、物価上昇にブレーキをかけられるが、セイホは損失を被るかもしれない(ちなみに円高傾向も強まる)。
それゆえ日銀植田総裁の利上げに関する発言が市場では注目を浴びるのだ。もちろん植田総裁は言質を取られぬように、慎重に語ることが常だ。市場は「いつ利上げに踏み切るか」の判断について疑心暗鬼の常態に置かれ、神経質になる。
そこを待ってました!とばかりにチャンスと見て、JGB市場を荒らすのが国際投機筋だ。
今年のジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の講演が専ら注目されているが、NY市場では植田日銀総裁の発言からも目が離せないと身構える人たちが多いわけだ。
保険と金は有事に備えるという意味では共通点がある。金を保有する生命保険会社も世界では少なくない。日本でもセイホが金大量購入などという見出しが経済紙面に躍る日が来るかもしれない。既に中国では生命保険会社の金購入が奨励されている。
さて、筆者が夏季、札幌に長期滞在中、本欄ブログ読者たちがお馴染みマガーリ@米沢(山里Magariと命名)を訪れているとのこと。自由が丘時代には住まいがご近所だったので、マダムとシェフと親戚付き合いをしていたが(ワンちゃんも含め笑)、この夏は筆者が本州の超酷暑にビビり、札幌から離れられない。秋のシーズンになればゴルフバッグ担いできっと米沢に行くぜ。裏磐梯のホームコースから近い距離だしね~。