豊島逸夫の手帖

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日米ともに個人消費を支える「団塊の世代」

2025年6月11日

NY市場で著名なアナリストのヤルデニ氏がトランプ関税をものともせず、旺盛な個人消費意欲を見せているのがベビーブーマー世代だと語った。日本流に言えば「団塊の世代」である。同氏は自らが同世代であり、関税で物価が上がっても消費意欲は衰えず、米国経済の下支え役になっていると述べる(米国GDPに占める個人消費の割合は7割近い)。

筆者も団塊の世代だが、確かに同年代の知り合いたちは自分の趣味やら孫のためやら「墓場までおカネを持って行ってもしょうがない」とばかりに消費に走っている。

現役世代から見れば、団塊の世代に課税を強化しろという議論になるかもしれない。

氷河期世代に比し、少なくともバブル期に楽しい思いをしただけでも恵まれていた。投資の面では「バブルの夢をもう一度」とばかり、「儲かりそうなもの」発見に熱心である。そう簡単に見つかるはずもないが、人間というものは一度夢実現を体験すると、その快感が忘れられなくなるものだ。

ゴールドセミナーでも、バブル体験組は「どこまで金は上がるか」と質問を投げかけるが、氷河期組は「金が下がるとすれば、どこまで」と問うてくる。その対比が鮮明だ。

とは言え、その氷河期組でさえ最新の状況では、「金はもっと上がりそう」と考える人たちが増えてきたことも事実だ。それだけリスクヘッジの必要性を痛感しているのであろう。

筆者は基本的に長期上昇を語るが、「市場関係者の皆が同じ方向を向くと相場は逆に動く」事例が多いので、あまり入れ込むなと諭しているところである。

2025年