豊島逸夫の手帖

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たまるか~高市政権、偶然にも金4000ドル挑戦へ

2025年10月6日

日本の政変など金価格を動かす要因にはならないと思っていたが、円安が150円台まで進行したことで、まず円建て金価格が本日も最高値を更新する経緯となった。

同時にNY金(12月限)も本日昼時点で40ドル程度急騰。3950ドル台に突入中だ。

本日は中国がお休みのため、アジア時間帯ではGLOBEXと呼ばれるNY市場時間外売買のプラットフォームでの値付けが国際相場を牽引している。

背景要因としては、引き続き中東・ウクライナ関連の地政学的リスクが効いている。ポーランド空軍の緊急発進(ロシア軍の領空侵犯の可能性による)やガザの人質解放の動きにも関わらず、イスラエルの攻撃止まずとの報道など。枚挙にいとまがない(ポーランドが公的金準備を増やすわけが分かるね)。

但し、4000ドルに接近すると、投機筋が「有事の金」を囃して個人投資家の買いを意図的に誘発する姿勢も顕在化。これには注意が必要。毎度言っているように一喜一憂するな。こつこつ貯金感覚で文字どおり「金を貯めろ」と4000ドルが近いからこそ強調しておきたい。今年の金相場の暴騰が来年まで続くとは思わない。明らかにスピード違反。来年は上昇するにしてもスピードは今年より遅くなると思う。勿論中銀の金買いが続く限り、長期的上昇傾向は変わるはずもない。

(今週の相場材料としてはFOMC議事録発表にも注目している。利下げ積極派と慎重派に真っ二つのFOMCで、どのような議論が交わされたのか。その一端が行間に読めるか否か)。

なお、外為市場の円安と日経平均のこれまた「暴騰」についてはいずれも「高市サプライズ」ゆえのこと。150円程度のドル円相場は驚かないが、日経平均の上げっぷりには高市バブルの匂いも漂う。まだ首相に就任したわけではないが、財政拡張が株式市場で期待されている。財政規律の緩みは覚悟の上のこと。更に女性首相誕生は歓迎するが、彼女の強い保守傾向は必ず対中で問題を惹き起こすと思う(まず、靖国訪問続けるか。そして台湾の政治家訪問も継続?)。アジアの中の一国で財政赤字大国でもある日本の国民は自らを自らで守らねばならぬことを痛感。

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2025年