豊島逸夫の手帖

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米国経済、スタグフレーション顕在化

2025年9月9日

昨日発表されたNY連銀サーベイで、雇用の悪化が確認された。
まず失職すると、次に新たな職にありつける確率が44.9%。これは前月比で5.8%減。更に2013年以来、最悪の数字だ。
振り返れば、2021~22年には労働者の楽観ムードが支配的で、毎月450万人が気楽に離職していた。その数が今や320万人。
労働者は、今の職に留まろうと必死だ。企業側は新規雇用を増やすことに消極的である。

かくして、景気のstagnation(鈍化)が確認された。
そして、問題はinflation。 これは、明日PPI、明後日CPIが発表され、インフレが依然年率3%前後で、粘着質であることが確認されそうだ。
そうなると、「stagnation」と「inflation」の同時進行、すなわち「stagflation」となる。

この米経済の実態を織り込み、NY金(12月もの)は3700ドルの大台に接近中だ。
FOMCの利下げも、年内9月、11月、12月の3回連続利下げ、且つ9月は0.5%幅のジャンボ利下げの可能性も浮上している。
本欄で繰り返し述べてきたことが現実味を帯びてきた。すなわち、スタグフレーションになれば、金の独り勝ち。事実、そのような金価格の上げっぷりだ。

2025年