豊島逸夫の手帖

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金高騰、日本の伝統工芸を揺らす

2025年77

今日は金相場ではなく、金の文化的側面について。

本日7日の日経新聞朝刊「Inside Out」。10段の大振り記事で、金高騰が金箔や織物、蒔絵など日本の伝統工芸の現場で深刻な問題となっていると報じている。

例えば、石川県加賀市の山中温泉。山中漆器連合協同組合の大尾専務理事の話。受注時点の金価格で見積もりを出しても、製作期間中に金がどれだけ高騰するかが読めない。受注するのが困難な状況だという。

実は筆者は記事中にも紹介されているが、10年ほど前、同組合に招かれ勉強会に参加したことがある。それゆえ、現場の状況がよく理解できる。伝統を残すには、新たな需要の開発が不可欠だという。

海外の注目度も高い。蒔絵は外国人に人気がある。金を使った繊細で精密な表現を求める声は大きいという。日本人の金の使い方は「まるで魔法だ」とのNYの美術商のコメントが紹介されている。

それで思い出したことが、ジム・ロジャーズ氏。彼は来日の度に日本製の仏像など金製品を買い求めていた。クオリティーが抜群だという。シンガポールの彼の豪邸には、数多くの日本製金製品が展示或いは実際に使用されていた。金の洒落たグラスで好物のコーラを飲むジムの姿が印象的だった(笑)。「全て娘たちのための資産だよ。」と語っていた。

さて、今日の写真は北海道庁の敷地内の池で小鴨たち。全く人を恐れることなく、私の足元で何やら餌と思しき苔を突っついていたよ。可愛いね~。

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2025年