豊島逸夫の手帖

  1. TOP
  2. 豊島逸夫の手帖
  3. バックナンバー
  4. ノーコメントと言える人、言えない人
Page4032

ノーコメントと言える人、言えない人

2025年2月27日

4032.gif

国際金価格は2910ドル近傍で静かな調整局面。2900ドルを割り込めば、すかさず新規買いが入り、2950ドルが視野に入ると、利益確定売りが出始める。まぁ、マーケットにとっては現水準が「居心地が良い」状況と言えようか。

さて、今日は日本株の話。
今年は頼みの外国人投資家に見離され、日本人投資家はNISAを通じて外国株投資信託を買い漁る。兜町の株式売買の7割近くは、依然海外勢が占めるという構図は全く変わらず。
しかも、その海外勢の多くが短期投機のヘッジファンドだ。業績の良い会社の株でも海外勢が日経平均に売り攻勢をかけると、巻き込まれ、株価が上がらない。

更に、日本勢でも個人投資家は日経平均が上がると、バブル時代に買い塩漬けになっていた日本株を売る機会と見て処分に走る。

国際的な日本株の評価も、昨年は株主還元重視などの多角的構造改革が評価されたが、今年は日本国で多数政党が乱立する政情が不安材料になっている。

筆者のところも今年は海外から日本株、円や日銀の動きに関する問い合わせが減った。
筆者の友人で日本株やドル円の専門家たちも実態は暇そうだ。でも立場上、忙しいふりをせねばならず、何かを語らねばならず、口を開けば「トランプ由来の不確実性」というような表現ばかり。はっきり「分かりません」と言えない立場ゆえ「視界不良」というような曖昧な表現でごまかしている。それを聞かされる個人の側でも、匙を投げ、傍観姿勢が目立つ。

ひとつだけ確かなことは、世界でトランプ氏の本音を読める人は誰もいないということ。何せトランプ氏自身が分かっていないのだから。

昨日も友人の著名アナリストが「豊島さんは独立系だから羨ましい。コメントなければ、ノーコメントとはっきり言えるのだもの。」とぼやいていたよ。

2025年