豊島逸夫の手帖

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不気味なFOMC、利下げ織り込む市場の関心は議事録に

2025年917

いよいよ明日早朝にFOMC終了、そしてFRB議長記者会見となる。

金価格も「利下げ」をテコに上がってきた経緯もあり、大いに気になるビッグイベントだ。

今日は中級者向けに以下にポイントをまとめた。

「FOMC劇場、9月の幕」が俄かにドラマチックな展開となりつつある。直前に「生出演」が決まったミラン新理事と渦中のクック理事の両名が、パウエル議長とどのような議論を交わすのか。もはや、既に利下げを織り込んだ市場の関心は後日発表される議事録にある。

前回のFOMCではウォラー理事とボウマン副議長が「据え置き」に反対した。30年ぶりの事で、パウエル議長の求心力の低下を印象付けた。更にトランプ大統領の放った「刺客」とも言えるミラン新理事と既に次期FRB議長の有力候補とされるウォラー理事の両名が、パウエル議長とどのような議論を交わすのか。

更に、他の参加者から「隠れトランプ派」が名乗りを上げるのか。FOMCでの議論の論調はトゲトゲしい雰囲気なのか、或いはFRBの品格を重んじて静かな政策論争になるのか。「根回しの人」と言われるパウエル議長がレームダック化の様相となるのか。「議事録」が重要な判断の決め手となりそうだ。中長期的な運用の視点では、利下げ回数よりトランプ大統領のFRB乗っ取り作戦の進行の方が遥かに重要なのだ。

FOMC後の定例記者会見でも、記者たちが入れ替わり会議の様子を引き出すべく質問を重ねるのではないか。

パウエル議長のジャクソンホール講演との比較も一言一句、詳しく吟味されよう。相対的にハト派的トーンを強めれば、トランプ大統領の政治的圧力に屈したとの誹りを受けかねない。対して、市場の織り込みを無視して、利下げに慎重姿勢を崩さず、タカ派色を維持することが最大のサプライズとなる可能性がある。

大向こうに構えるトランプ大統領からはSNSを通じて激しいヤジも飛びそうだ。

見どころ満載の「FOMC劇場、9月の幕」である。

2025年