2025年3月27日
25%の関税発動に関して、米国国内の自動車メーカーも当惑気味だ。国内に新たな生産拠点とサプライチェーンを完成させるのに少なくとも2~3年はかかると見られているからだ。フォードとGMの株価は、時間外でそれぞれマイナス4.7%とマイナス6.1%ほど急落している。
米国消費者の選択肢としては、当面割高になる輸入車を買うのか、新車購入は諦めるか。前者なら物価高、後者ならGDPの7割を占める個人消費の減少。恐らくふたつの選択肢が同時進行することになろう。自動車ローンの税制に優遇措置が取られても消費者心理への効果は限定的と見られる。
しかも、結果が出るのが2~3年先となれば、第二次トランプ政権の末期に迫る。その間トランプ経済政策への国民の不支持率が下がることはあるまい。トランプ氏もレームダック化が視野に入り始め、開き直るしかあるまい。
FRBの金融政策も雇用優先とインフレ抑制のどちらに軸足を置くのか。自動車産業はセクターが大きいだけにパウエル議長は危うい綱渡りが迫られよう。景気後退と物価上昇が同時進行するスタグフレーションともなれば有効なポリシーミックスはない。全員負けのシナリオだ。
4月2日には相互関税についての具体的発表も予定されており、NY市場ではXデーと呼ばれている。自動車関税はその予告編とマーケット関係者には映る。
自動車関税が発する不確実性は、中期的にマネーが安全資産としての金に流入する現象を加速させることになろう。
追記
さて、お堅い話はここまでにして、思わずクスッとくる小話をX(ツイッター)@jefftoshimaにアップしたのでご覧あれ。
おじさんのXにしてはかなりのアクセス数です。