豊島逸夫の手帖

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日経平均急落、5万割れ、震源地は金市場

2025年11月5日

昨日のNY市場は寄り付き前からナスダック先物が時間外で急落して、異様な雰囲気が漂っていた。

そもそも米ハイテク株も金も今年に入っての価格上昇がハイピッチで、バブルではないかとの議論が盛んであった。

そのような市場環境の中で、まず金が売られ始めた。それを見た米ナスダック市場でも人気ハイテク株に売りが出始めたのだ。因みに仮想通貨も同じタイミングで売られ、原油価格も下落。まさに何でも売られる日となった。

金とハイテク株に共通するのは、直近の高値圏を短期投機筋が主導していたことだ。
それゆえ金の売りが株の売りを誘発する結果となった。本欄で散々述べてきたように金価格もスピード違反気味の様相はあった。
株の損を金の利益確定売りで補う事例も見られた(なお、金価格急騰はバブルではない。世界の中央銀行が外貨準備として金を長期退蔵しつつあるからだ。対して、米ハイテク株を買う中央銀行など世界中見渡しても無い!外貨準備に株を保有するなど禁じ手である)。

そして、今日の東京株式市場に売りが伝染。本稿執筆時点で日経平均が2000円を超す暴落を演じている。金もKITCOグラフの緑線が示すように3920ドル近傍まで下落する局面もあった。

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さて、これからどうなるか。
結論から言えば、金はNY市場でhealthy down day(ヘルシーダウンデイ)と言われ、健全な調整局面にある。

対して株価は危うい。
人気銘柄のエヌビディアの時価総額がなんと5兆ドルを一時突破。
日本ではソフトバンクなど数社の銘柄だけで日経平均の数千円分を占めるという異様に偏った価格変動。
日本株を海外勢が1兆円規模で買い漁っているとの報道もあった。

とは言え、一社で5兆ドルのNY市場から見れば、1兆円など微々たる額だ。

なお、金が株と異なる点は実物資産として独自の希少価値を持つことであることは言うまでもあるまい。

但し、NY金市場では荒っぽく稼ぐことを仕事とするヘッジファンドなどの投機筋も短期売買を繰り返しているので、ここは今後とも要注意だ。

毎度書いてきたことだが、彼らの派手な動きを見て一喜一憂してはならない。
俯瞰すれば、今は4000ドルという大台突破の真っ最中と言える。
今後も荒い値動きは続きそうだ。

このブログで追いつけない部分はXの@jefftoshimaで補っている。

2025年