2025年9月30日
昨日、世界で金について最も騒いでいたのが日本であったが、同日夜のNY時間では更に続騰。2万円が通過点であることを実証した(緑線が昨日のロコロンドン金価格。NY金先物12月限は3860ドル台まで急騰)。
昨日NY時間の金上昇の理由は米政府機関閉鎖問題の悪化である。これは毎年のことだが、年度をまたぐ「つなぎ予算」が決まらないと、一定期間政府の出先機関の業務が停止されるリスクがある。毎年概ね土壇場で共和党・民主党が妥協して閉鎖は避けてきたが、今回はトランプ氏の強気姿勢で決裂の危機にある。決裂となれば入国審査業務など、様々な公的社会機能がストップして、国民生活に少なからず影響が及ぶ。特に今年の問題は、雇用統計を発表する労働局統計課が、つなぎ予算決まらずならば、今週金曜日発表予定の雇用統計を延期せざるを得ないと明言した。これは大問題。雇用統計と言えば、パウエルFRB議長が最も重視するデータだ。これなくばFOMCを開いても議論のベースとなる雇用者数とか失業率のデータが無いので、事実上閉会状態になりかねない。金融政策がストップしてしまうリスクがあるのだ。市場の混乱は必至。金融政策リスクを回避するためにかなりのマネーが安全資産である金に流れた。
更に、米国が公的保有する金(8000トン超)の価値が1兆ドルを超えたというニュースも流れた。
通常公的セクター保有の金と言えば、中央銀行保有の外貨準備を指す。しかし米国の場合は保有者が政府。中央銀行のFRBは政府保有の金の預かり証をドル紙幣として発行する。その簿価が現状では極めて安く設定されているので、トランプ氏はこの際、時価換算にして(それが1兆ドル!)FRBの紙幣発行を増やし、財政赤字の補填に流用しようとの腹積もり。しかし、そのような荒業にでれば米国内にマネーが溢れる状況になるのは必至。事実上、無理筋のシナリオなのだ。しかし、一部の投機筋が囃し、それに乗った個人投資家が多額の損失を被る可能性がある。
いずれにせよ危ない話の連続で、その影響は米株価にまで及び、リスクオフで金が買われた次第。
今後もこのような想定外の出来事が金価格を更に引き上げることになりそうだ。
金はバブルか否かの議論は4000ドル突破してからだね。
さて、明日、渋々(笑)帰京とあいなった。翌日からワールドビジネスサテライトなどテレビ出演が待ち受ける。
メディアと言えば、今朝の日経新聞朝刊一面上の金の写真は目を引いたね。色々な筋から「金はもっと上がるの?これから買って大丈夫?」と聞かれたよ~。