豊島逸夫の手帖

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金4000ドルと高市体制誕生は偶然の一致ではない

2025年10月9日

今日のタイトルは筆者の言葉ではない。米国を代表する経済紙ウォールストリートジャーナルが書いていることなのだ(以下記事直訳)。

「土曜日に日本は新たな首相(筆者注、候補)を決めた。火曜日に金は4000ドルを突破した。これは偶然の一致ではない。

高市氏は財政・金融ともにハト派。経済刺激策を増やし、日銀が金利を上げ過ぎないことを望む人物だ。彼女の選挙勝利により円安となり、日本の株価と国債利回りは上昇した(筆者注、日本国債が売られた)。

そこで金価格が上昇した。巨額の公的債務とポピュリスト系の台頭が自国通貨の価値を下げ、通貨の発行元である中央銀行に脅威を与えることが、我が国(米国)だけではないことが明らかになったからだ。」

要はフランスなど欧州を含め、世界的に財政不安・金融政策不安が顕在化していることが、金4000ドルの背景にあることを指摘しているのだ。

それにしても高市自民党総裁誕生が、今や世界的に注目される事象になったことは興味深い。当選後に連日の日本人ノーベル賞受賞という成り行きは高市氏にとってラッキーな成り行きではあるまいか。とは言え、首相が変わったところで日本経済の置かれた困難な状況は変わるまい。

金価格に関しては円安効果も手伝い、円建て金価格には更なる上昇圧力がかかる。筆者はドル建て金価格上昇とドル高円安が同時進行するという都合の良い展開が続くことは期待しない方が良いと書いてきたが、どうやら今年も都合の良い展開になりそうだ。

なお、本日午前中に「ガザ地区の和平計画、トランプ氏、第一段階に合意、人質解放へ」との報道が流れ、地政学的リスクのひとつに解決の兆しが見えた。上昇を続けてきた金価格も20ドルほど下落。それでもロコロンドンで4020ドル台という歴史的超高値圏に変わりはない。金価格上昇が複合要因に支えられていることを図らずも実証する結果となっている。

さて、このところ仕事が増え、XでのSNS発信をお休みしていたが、金4000ドルをキッカケに再開したところだ。
@jefftoshimaを見ていただきたい。

さて、今日の写真は自家製白玉!
十勝産あずきを使ったサザエのゆであずきを白玉にたっぷりのせた。東京では札幌のような質の高いアイスクリームに恵まれないので、スイーツはこれにした。今日は涼しいけど、昨日は蒸し暑かったからね。

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最後に、昨日日経電子版マーケット面「豊島逸夫の金のつぶやき」に書いた原稿も読んで欲しい。以下クリックすれば誰でも読める。

「タカイチ円安」 NY市場、日銀への政治的介入に関心 - 日本経済新聞

2025年