豊島逸夫の手帖

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エヌビディア社、「世紀の空売り王」に猛然と反論

2025年11月26日

例えて言えば、ゴールドラッシュ(新金鉱脈採掘競争)で最も儲かるのは「つるはし」や「シャベル」の生産販売社だと言われる。それと同じようなことが、所謂「AIバブル的現象」で起きているように見える。

「AI株はバブルだ」と断言した「世紀の空売り王」マイケル・バリー氏がエヌビディア社を槍玉に挙げ、AIブームに乗り、取引相手の会社に潤沢な資金を供与して、自社製品を使うシステムを作らせていると批判した。

エスカレートする論調に、遂にエヌビディア社も猛然と反論する文書をアナリストたちへ密かに(quietly)配布したと複数の米メディアが報じた。曰く「戦略的投資であり、我が社の収入の小さな部分に過ぎない。AIのスタートアップ企業の殆どは外部の投資家から調達している」。

更に、バリー氏は「エヌビディア社顧客は資産の耐用年数を人為的に延長することで原価償却を過少評価し、利益を膨張させている」とも指摘している。

それに対してエヌビディア社は「我々の顧客はGPU(画像処理装置)を実勢に応じて、4年から6年の期間に減価償却している」と主張する。

AIブームをあくまでドットコムバブルの再来と位置付けるバリー氏とエヌビディア社の論争は、今後もウォール街での恰好の話題となりそうだ。
因みにエヌビディア株は昨晩急落した。

2026年の金価格予想は5000ドルが多いが、中銀の大量金買いをバブルとは言えない。しかし、AI株は期待値も含めて異常に割高でありバブル論が根強い。金市場と株式市場。バブル論は明暗を分ける。

2025年