豊島逸夫の手帖

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速報 NY金、3040ドルまで急騰

2025年3月19日

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今週のメインイベントであるFOMC記者会見の前日、フライングかと思われるような国際金価格急騰(グラフはロコ・ロンドン)。筆者も3100ドルはあると見ていたが、このタイミングで3000ドル超えのレンジの値固めに入るとは想定していなかった。NY金市場最前線ではAI売買プログラムが多用され、買いが買いを生む連鎖が生じやすい市場環境になっている。人間の投機家だけではFOMC直前に3000ドル超えで40ドル近く買い上げるのは無理筋だ。人間様は解説役に回るしかあるまい(笑)。

なお、昨日特に買い材料もなかった。敢えて言えば、ゴールドマン・サックスなどが発表する経済政策不安指数が、グラフで見ると直近ほぼ垂直に上がっている。この「不確実性」こそが安全資産とされる金へのマネー流入を誘発している。

株安=金買いという「市場の法則」も昨年から崩れていたが、ここにきて復活気味だ。

それにしても歴史的高値圏でインドや中国など文化的金選好度の高い国の金現物需要は明らかに萎えてきている。実需の裏付けがなく、投機主導の相場は派手に上がるが派手に下がる。

現時点で3200ドル程度まではモメンタムで上がるが、トランプ関税という材料も徐々に陳腐化すると売りの巻き戻しが起きやすい地合いになろう。新雪のドカ雪が表層雪崩を引き起こすイメージだ。3000ドル割れも十分にあり得る。ボラティリティーは極めて高い。

この仮説が正しいか否か。まずは今晩のFOMCパウエル記者会見に注目したい。

今回のFOMCは、政策金利は動かさず、無風と言われ、同時発表のドットチャートも外れっぱなしゆえ、説得力に欠く。何せトランプ次第で金利環境も激変するゆえ、FOMC参加者の金利予測もトランプ次第というのが実態だ。米金融政策の司令塔FRBは事実上トランプ組に乗っ取られた。その中でパウエル議長は意地でも米国経済堅調説を貫くと思われる。記者会見ではその理由について突っ込まれるは必至。

更に、筆者の注目点は中立金利に関する議論にパウエル議長が言及するか否か。最近のFRB高官の論調を見るに、景気を刺激もせず、下押しもしない中立金利は3~3.5%程度と見られている。従来に比し、0.5~1%近く上がってきている。ここを記者会見で問われた場合にパウエル議長がどのような言い回しで答えるのか。中立金利は政策金利の重要な決定要因だけに興味津々。

なお、ウクライナを巡るトランプとプーチンの歩み寄り報道は狐と狸の化かし合いみたいで、信じるに足る市場変動要因とはなり難い。

最後にドル円は日本で騒がれるほど、NY市場で円買いムードが熱くなった実感はない。昨年の円キャリーに比し、今年の円買いの規模は小さい(外為では取引所の出来高は相対的に限定的だ)。今年はドル円のレンジも限定的でNYの外為関係者も昨年より暇ゆえ、夏休みの家族旅行プランなどもう立て始めているよ。ジャパンツアーが人気で、それが彼らの「円買い」だとさ(笑)。

なお、明日は日本が休日なので、大きな動きがあれば、X @jefftoshimaでコメントする。この数か月御用繁多で殆どアップデートしていないけど(笑)。

2025年