2025年6月10日
金の世界でロンドンと言えば、ロスチャイルドの「黄金の間」で毎日2回行われる「gold fixing 金建値決め」が有名であった。世界中から金現物の売買注文がロンドン市場の5社に集まり、売り・買いの注文が飛び交い、当日の建値(午前1回、午後1回)が決まった古き良き時代であった。
しかし、このロンドン金市場のギルド的側面が問題視され、インターバンクの金売買に変質していった。国際金価格決定の主導権はNY市場に握られた。ロンドン側もLBMA(London Bullion Market Association)を強化して対抗したが、もはや価格形成力をNY市場が握る状況は変えられなかった。
LBMAもWGCもプラチナカウンシルも所詮業界団体で販売促進機関だ。金・プラチナの国際調査機関と説明されるのは日本だけ。フィナンシャルタイムズはWGCを「a trade body (業界団体)」と表記している。
一方、NY金市場は売り手と買い手がぶつかり合う場を提供する。勝てば官軍の世界。ゴールドトレーダーたちも人事異動で株・外為・債券担当から金担当になった連中が多い。ゆえに金の知見は薄い。それでも金を金融商品として売買することは、株や外為市場と同じ仕組みゆえ抵抗感は薄い。しかも大きな取引に慣れている。
金3000ドル台の背景には市場の変質が起こっているのだ。