豊島逸夫の手帖

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歴史的高値圏での需要動向を吟味する

2025年4月30日

ワールドゴールドカウンシルの2025年1-3月期の需給データが発表された。今回は金暴騰の裏で実需動向がどのように反応したかについて、筆者は強い興味を持って数字を吟味した。

まず、今年1~3月の平均価格が2859ドルという歴史的高値圏で、ETF需要が前期18トンに比し226トンに急増した。これが強い買い圧力となった。但しETFは昨年から四半期ごとにマイナス113トン、マイナス7トン、プラス94トン、プラス18トン、プラス226トンと振れが大きい。短期投資のツールとして使われているからだ。仮に価格が下落すると、来期には激減する可能性もある。

同じ投資需要でも地金と金貨は前期326トンに比し325トンと高値圏でも底堅い。手数料が高いからETFと異なり、長期的に退蔵される。

次に宝飾部門だが、宝飾消費が前期547トンから380トンに激減した。高値による買い控え傾向が顕著だ。

最後に中央銀行だが、前期365トンに比し243トンに減った。それでも長期の買いとして評価されるべき。

以上まとめると、金ETFと中央銀行が価格上昇の主因となったが、宝飾需要の減少傾向がジワリ需給要因として効いてくる可能性がある。

総じて、金需要は歴史的高値圏でも健闘したと言えよう。

2025年