豊島逸夫の手帖

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プラチナ爆下げ

2025年7月31日

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TBSテレビのTHE TIME,のプラチナ特集に出演して「いつまでも上がり続けると思うな。ワイドショーが扱い始めたら一相場終わりだ。」と語り、その発言はカットされたことを昨日書いた。オンエアで採用されたコメントは「NY市場では今日プラチナ買って、来週には儲けたいと思っている人が多数いる。」、「投機的だから注意。」。
そう言った途端にNY市場でプラチナ暴落。個人的には悲しいけどね、プロとしては言わねばならないこともある。
1500ドル狙いのはずが1300ドルの攻防に。とにかくプラチナ市場は小さいから、この程度のことで驚くなかれ。

まぁ、このまま下げ続けることはないと思うよ。昨晩の下げが始まったのはFOMC前後。やはり「7月利下げせず」が売り材料として投機筋に使われたのだね。銅価格も急落した。
金価格も下落だが下げは限定的。とは言え、上げ一服感が強い。

さて、明後日土曜日朝のBSテレ東「日経サタデー ニュースの疑問」に生出演。テーマは貴金属ではなく「どうなる米国経済」。今週FOMCと雇用統計を経て、トランプ政権そしてFRBはどう動くか。
バンコク並みの酷暑東京出張は懲りたので、札幌からリモート出演を条件にOKした(笑)。
このテーマについての論文を以下に添付しておく。
 
パウエル氏、任期中は「利下げせず」も、ちらつく円安

現状の不透明感に満ちた世界政治経済環境では、米国利下げを首尾良く成し遂げるのは航海で海図なき難所を乗り切るようなものだ。誰がFRB議長になっても、物価と雇用の二つのミッションを同時に達成するのは無理筋であろう。

パウエル氏は常々、一回のデータの振れは「ノイズ」(雑音)と切り捨て、数回連続で一定の方向性が確認されなければ政策金利は動かさない方針を明言してきた。

しかし、CPIやPCEインフレ率などの物価指標と失業率などの雇用指標が、同時に利下げを正当化する数値となる可能性は低い。しかも、その数値の組み合わせが大きく振れずに数か月継続してトレンドが確認できることなど、果たしてあり得るのか。そもそもトランプ大統領が黙っていまい。FRB本部改修問題を理由に、パウエル氏解任に本格的に動くであろう。

なお、30日に発表された米4-6月期GDPも年率換算で前期比3.0%増だったが、肝心の個人消費は1.4%増にとどまった。それでもパウエル氏は米国経済は堅固だと言う。

しかも「データ次第」で決める政策金利の動きについて、FOMC内でもトランプ氏を意識したと思われる二人の反対者が出て、内部の亀裂が露わになった。パウエル議長は丁寧な根回しで決めることが知られているが、今回ばかりはトランプ大統領の影響力が優ったと思われる事例となったのだ。

ここでパウエル氏が利下げに踏み切れば、政治的圧力に屈したとの見解が噴出するは必至の情勢。

結局、パウエル氏は政策金利据え置きを2026年5月の任期終了まで続けるという極端なシナリオが、絵空事とも言えなくなってきた。

一方、日銀は本日、4会合連続で政策金利0.5%に据え置きを決めた。今後、NY市場の国際通貨投機筋が円買いポジションを倍返しで円売りに転換する可能性も、ウォール街では語られ始めた。

次の流れとしては、まず8月21~23日開催の恒例中央銀行フォーラムであるジャクソンホール会議が注目される。次のFOMCは9月16と17日なので、それまでにCPIと雇用統計が2回発表される。そこでパウエル氏がジャクソンホール会議で、利下げ慎重論を強調して語る可能性があるのだ。それまでには関税のインフレ効果が顕在化しているかもしれない。

これまでもパウエル氏はジャクソンホールでサプライズ演説を行った事例を市場は忘れず、既に身構えている。

2025年