2025年11月6日
今週起こった日米株波乱の「火元」がマイケル・バリー氏という株「空売り」のカリスマ名人と判明した。彼が率いるヘッジファンドがパランティア社という人気のAI銘柄の「プットオプション」を購入していたことが、SEC(米国証券取引委員会)により必要とされる四半期ごとの保有銘柄開示により確認されたのだ。
更に、彼は超人気のエヌビディア社のプットオプションも購入していた。「プットオプション=売る権利を買う」ということは、当該銘柄の株価が下落した時に儲かる仕組みなので、一般的には相場下落時のためのヘッジとして使われる。
しかし、バリー氏の場合は当該銘柄を保有していないのに、売るという所謂「空売り」で積極的にリターン(儲け)を狙い「空売り攻撃」を仕掛けたのだ。
バリー氏は「The strong short」というふたつ名を持ち、同氏の映画が制作公開されたことがあるほど有名な存在ゆえ、プットオプションの総額が10億ドル程度でもNY市場を震撼させたのだ。
そして、今回は既に調整局面入りしていた金価格と米AI株の下げが同時に共振するという成り行きになった。
時あたかも、金もAI株もバブルではないかとの議論がNY市場では論じられていたので、騒動は拡散して、日経平均も大幅に下げる局面が生じたと言える。
しかし、所詮投機筋の仕業ゆえ24時間で収束に向かった。
本日は株も金も反騰している。金価格は以下のKITCOグラフ緑線が最新の動き。

一時は3920ドル近傍(ロコロンドン)まで急落した(赤線)が、この24時間は緑線で示されるように3980ドル超まで戻している。
今年、現水準まで暴騰した後のことゆえ、筆者はもう少し長く「値固め」が続いた方が長期的上昇トレンド形成のためには良い事であると思っているところだ。
金下落の背景として米中緊張緩和が指摘されるが、筆者は習近平氏とトランプ氏が仲良しになることなどあり得ないと確信している(笑)。