豊島逸夫の手帖

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連休中に金・銀、歴史的暴騰

2025年10月14日

金は4100ドル突破、銀は52ドルで45年ぶり高値(いずれもスポット価格表示)。

まず、銀に何が起こっているのか。

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一言で言えば、銀現物市場の中心的存在であるロンドンから銀が消えたと言われるほど品薄、更に在庫が枯渇する状況になったのだ。

何故?

銀は熱伝導性が良いので、精密機械部品の素材、更にソーラーパネルなどに使われる。
加えて、近年は銀ETFなど金融商品としての需要も増えた。
そして、決定打はトランプ政権が銀や銅など「重要金属」の国内生産を増やすために、銀の輸入に対して制限をかける可能性が浮上していること。年前半にも貴金属が関税課税対象になるかもしれないとの予測が流れ、駆け込み的に米国内に現物が搬入される事態が見られた。今回も関税を課す可能性が捨てきれない。

但し、銀は金に比し「かさばる」ので、空輸するにも限界がある。それゆえ銀現物の世界的品薄感は強まるばかり。実需で銀を買うユーザーのみならず、NY先物銀市場で銀を買う投機的な動き(悪乗り)も目立つ。そもそも投機なくしてこのような短期間で大幅な銀価格急騰は考えられない。

では、これからどうなる。

結論から言って「高値こそ高値を冷やす」。英語では「high price cures high price」と相場格言で言われるとおり、現状の異常な状況は高値が続けば自然に収まることになろう。投機的高値が継続して上げ余地が少なくなれば、投機筋にも「うま味」がなくなり銀価格のボラティリティーも低下するであろう。いずれ落ち着くところに落ち着くと見る所以だ。大袈裟に一喜一憂するなかれ。騒ぎたい奴には騒がせておけ。

次に、金。

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やはり連休中に最高値更新。貴金属セクターでシルバーフィーバーに刺激され上昇した面も否定できない。

但し、産業用金属の銀は安全資産とは言いかねるが、金は安全資産として引き続き中央銀行の買い継続が見込まれる。
更に、日本とフランスで同時進行的に「政変」が生じて、どちらの国も財政赤字悪化が懸念されること。
地政学的リスクも、ハマスの人質解放やトランプ氏の「中国については心配するな」という書き込みで後退した感があるが、NY金市場でそれを額面どおりに受け取る人たちはいない。中東・中国リスクは依然残る。唯一、米株式市場ではトランプ氏の書き込みが歓迎され株価が上昇した。株式市場は楽観で育ち、債券・金市場は悲観で育つと言われるとおりだ。
アジア・中東の平和を信じる人は株を買い、信じられない人は金を買うとでも言えようか。

なお、筆者が気になるのは米国で信用不安リスクがジワリ強まっていることだ。これについてはXの@jefftoshimaに書いた(ちょっと今日は取材が相次ぎ、丁寧に説明する時間がない。これからTBSテレビ朝番組のTHE TIME,のビデオ収録などをこなさねばならず、汗!)。
 
最後に、公明党離脱で日本の次の首相が誰になるか、NY市場でも意識はされているが、基本的に不透明なので軽くスルーという感じ。

今日の写真、九州は「荒尾(あらお)」の超大型梨。今年のものは特に甘い!旨い!

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2025年