2025年4月28日
国際金価格が瞬間タッチで3500ドルをつけてから3300ドル割れ水準まで急降下している。とりあえず3300ドルを回復したもののリバウンドは弱い。相場の形で見れば急騰後急落により三角形でアタマを打った様相だ。
金市場の内部分析をしても既に歴史的高値圏で、買い控えによる実需減少が明らかだ。文化的金選好度の高いインドと中国の現物購入は今年に入って趨勢的に減少傾向にある。
結局3000ドルから3500ドルの過程では先物と投機的な金ETF売買が相場を主導した。特にNY先物勢と上海黄金交易所での中国勢の投機的売買が共闘して相場を吊り上げたというのが実態だ。いずれも逃げ足は速いマネーだ。特に上海勢の見切り売りの可能性には要注意だ。
しかも今回のような超速度での相場上昇が進むと、これまで採掘された金のリサイクル売り現象が顕在化する。相場が急騰している時には待って少しでも高く売りたいと自制するもの。その一方でひとたび相場が下がり始めると、安くなる前に売ろうと我先にリサイクル売りに走るものだ。これは全て人間の欲がなせる業である。
とは言え、中期的にトランプ経済政策の不透明感は晴れず、インフレ再燃、景気後退の同時進行リスクは払しょくされない。スタグフレーションになれば、これはゴールド(金)独り勝ちのシナリオとなる。既に利益確定の売りを入れたヘッジファンドも安値圏では再参入が見込まれる。
今後は軟調な局面が続くが、年内再び3500ドルへの新たな買いの波が生じても全く不思議ではない。
このような状況下だが、安全資産を求めるマネーの一部が徐々に金から米国債に「里帰り」する現象が散見されるようになった。やはり米国債市場規模は断トツだ。対して金市場の規模は小さい。ビッグマネーの視点では、安全資産としての金はあくまで「雨宿り」に過ぎない。
写真は以前、日経新聞「交遊抄」で紹介した鮨屋「誠」にて。ソフトクリームの出前(笑)。