豊島逸夫の手帖

  1. TOP
  2. 豊島逸夫の手帖
  3. バックナンバー
  4. 米中歩み寄り、金急落も3200ドルは死守
Page4077

米中歩み寄り、金急落も3200ドルは死守

2025年5月13日

4077.gif

緑線がいきなりストンと落ちているところが米中共同声明発表時点。その後、結局3200ドル台スレスレのところでの動きが繰り返された。下げたとは言え、3200ドル台という歴史的高値圏だ。

では、今後3500ドル奪回の可能性は?
3500ドルを2回跳ね返され、ダブルトップ(二番天井)を付けたので、また大台挑戦にはかなりのエネルギーが必要。イベントとして今後90日間の期間で米中通商協議決裂というシナリオになれば、3500ドル突破も考えられる。
ただ、トランプ氏は来年の中間選挙を控え、習近平氏は中国経済の危機的状況が続いているので、ここで決裂すれば米中共倒れリスクが生じる。

一方、米国経済のスタグフレーションリスクは依然根強い。雇用と物価を同時に安定させるのは至難の業だ。既に米国経済のソフトデータ(消費者信頼感指数とか購買担当者景気指数など)は悪化しているが、これがハードデータ(雇用統計や今日発表のCPIなど)に何時、何処まで反映されるのか否か。ハードデータまで悪化すれば粘着質のインフレと同時進行となり、パウエルFRB議長も打つ手なし。これがもうひとつの3500ドル突破シナリオ。本欄で繰り返し述べてきたように、スタグフレーションともなれば金の一人勝ち。
但し、米国経済がスタグフレーションになれば、日本経済も巻き込まれるは必至。金市場の立場では上げ材料でも、日本としては見たくない景色となろう。

2025年