2025年6月25日
金ブームと言われて久しいが、では実際に金を買っている人が急増しているのかと言えば、まだまだ。確かに増えてはいるが「金?なんか怖い。」と尻込みする人が未だに圧倒的だと思う。筆者は金に限らず株や外為についても書いているが、総じて金の原稿へのアクセスはガタンと落ちる。
「豊島さんって金の専門家ということだから、怪しい人という印象でした。でも実際に話していることを聞くと、凄く真面目な方なんですね。」と若い女性にあっけらかんと言われ、思わず苦笑したこともある。
「有史以来、採掘された金はプールX杯分」という話にしても、筆者にしてみれば40年前から語ってきたわけだが、未だに「へぇーーそうなんだ。」と感嘆される。親しい友人には「豊島は40年前と同じ話をしているではないか。」と呆れられる始末だ。
ここ5年ほどは若い投資家の参入が目立つがYouTubeには、かなり怪しい説明がまかり通っている。金ブームに乗って、俄か金スペシャリストが増えているのだ。YouTubeの視聴者にしてみれば、そこで語られる情報が正しいか間違っているか判別もできない。
YouTubeのタイトルは、かなり誇張された表現も多く(例えば、金で絶対に儲かる方法を伝授など)実に危うい状況だ。それも、いかにも優し気な男性・女性が巧みな話術で語るのだから、素人衆で「はまる」人が絶えない。
金の本にしても真面目な著書に比し、明らかな「陰謀説」を説く本の方が3倍以上は売れる。筆者の本も例えば、丸の内のオアゾとかビジネス街の本屋さんではよく売れたが、渋谷・新宿あたりになるとサッパリであった。聞けば、この傾向は今も変わらないそうだ。
まだまだ金啓蒙の道は遠い。地味にコツコツやり続けるしかない。魔法の杖はないのだ。