豊島逸夫の手帖

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日経平均暴落、海外勢は売り崩し狙い、狼狽売りは避けよ

2025年3月31日

今日のブログは長いよ。

まず、今日のマーケットの話題は何と言っても日経平均暴落。その詳述の前に金についてのメディアでの発言は以下のとおり。
この記事は筆者の見方を良くまとめてくれている↓

金が史上最高値更新 トランプリスクの中で増す輝き 「3300ドルまで上昇」予想も(産経新聞)-Yahoo!ニュース 

WBSは番組後半で日本の金山に外資マネー殺到というテーマ。大江キャスターがこの番組卒業ということで、番組中でも感涙で語っていたが、私とのインタビューが最後の取材という巡り合わせになった。TVerでアップされている。↓

お花見シーズン到来...「花見物価指数」は倍に!?▼大江キャスター卒業(WBS ワールドビジネスサテライト)-TVer

それから同日の日経モーニングプラスFT(BSテレ東)で、こちらも筆者の見解をきっちりまとめて語ることができた。既にTVerにアップされている。↓

金3000ドル突破の背景と今後(日経モープラFT)-TVer

というところで、さーて、日経平均暴落について詳述。

「商品券って何だ?」海外投資家。日本株の見切り売りに動く。

今やNY株式市場は「リスクを減らせ」が合言葉になっている。米国株も日本株もその対象になっている。問題はその見切り売りに乗じて海外勢の投機的ファンドが日本株売りを加速させていることだ。週末もこの人たちはズームのチャットで「その後の商品券問題」など日本の粗探しをしていた。

この波状攻撃の売り攻勢を受け、日本人投資家が狼狽売りに走ると彼らの思うつぼだ。昨年8月5日に起こった令和のブラックマンデーの後場にまさに起こったことである。あの日以来、日本株は新興国株並みの荒い値動きをする「仕手株」同然との烙印を押されている。東京の日本株市場の売買の7割近くは海外勢という実態は変わらないので、自分たちが動かせるという自信めいた読みで動いている。

今回は4月2日の相互関税発表の日がXデーとされ、中期的にマーケットリスクは今が不確実性のピークと筆者は見ている。「噂で売って、ニュースで買う」のがヘッジファンドの常套手段でもある。トランプ大統領は、今が「移行期」と位置付け、株安容認をほのめかしており、トランプ・プットは期待薄との見方が優勢だが、「株価は政権の通信簿」と言い続けてきた同氏がいつまで「今は過渡期につき株安容認」の姿勢を維持できるのか。株式市場はひとたび大きく崩れるのを放置すれば、原状回復にかなり手間取るものだ。ビジネスマン出身のトランプ氏やヘッジファンド出身のベッセント財務長官がそれを知らぬとは到底思えない。株価がこのまま下げ続けるとは思えぬ。

とは言え、冷静に国際経済理論で考えれば、自由貿易なら経済は拡大均衡による株価長期上昇が期待できるが、保護主義が続けば縮小均衡となるは必至だ。トランプ氏は米国の製造業と労働者の復権を唱えてきたが、貿易理論ではこのセクターは米国が比較優位を持つ分野ではない。新興国などに譲るべき産業だ。今のままでは米国経済が製造業と労働者との共倒れリスクがある。日米同時株安は市場がトランプ経済政策に不信任票と投じた結果とも見える。その程度のことは承知でも、トランプ氏への忠誠度で選ばれた「家老」揃いのホワイトハウス内で「殿、ご乱心」と言える人物は見当たらない。

では、個人はどうすればよいのか。
投資家は「儲けたい」とのアニマルスピリッツ(獣性)に駆られリスクを取るものだが、当面はアドレナリンを抑え「冬眠」期間に入るべき時であろう。現状のポートフォリオを若干スリムにして、しばらくはマーケットから距離を置くということだ。日経平均も狼狽売りが出なければ、いずれ36000円の水準に戻ってゆくと見る。そこからゲーム再開くらいの気持ちで良しとすべきではないか。

2025年