2025年12月11日

今回のFOMCでは、パウエル議長が利下げは決行するが、慎重な言い回しで労働市場とインフレの相対する二つのリスクに言及すると思われていた。「そう簡単に利下げはしないよ」とのトランプ大統領への意地も見え隠れした。
ところが、蓋を開けてみれば事前想定よりあっさり利下げ決定を語った。
利下げ反対者も3名。FOMC内部亀裂が露わである。
結局決め手となったのが、FOMCの実質的No.2であるNY連銀ウィリアムズ総裁の「利下げ賛成論」であった。
更に、市場での短期的資金不足に対応するために米国債を購入してマネーを供給する措置も発表された。
これは量的緩和ではない。あくまでも短期資金市場に対する防御的措置である。
しかし、株式市場も金市場もいいとこ取りした感がある。マネー供給が増えることは、流動性相場の色が濃いマーケットには思わぬ朗報となる。
金価格については、FOMC前まで4200ドル前後でやや膠着していた。タカ派的FOMCを恐れていた。
その霧が晴れ、銀主導で金も追いつけとばかりに買いが集中した面もある。
いずれにせよFOMC後の金銀上昇は「投機的」と言わざるを得ない。
時あたかもBIS(国際決済銀行)が今年の金暴騰を「バブル」と断じるレポートを発表して話題になった。
中銀の買いが主導する分にはバブルとは言い難いが、今回のようないいとこ取りの買いを見せつけられるとバブル的要素を認めざるを得ない。
とは言え短期性の出来事。
歴史的金価格の長期上昇トレンドはいささかも変わらない。