豊島逸夫の手帖

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ステーブルコインと金

2025年8月26日

最近ステーブルコインが話題になっている。
仮想通貨だが、ビットコインとの最大の違いはドルなどの法定通貨の裏付けがあること。従ってビットコインの如く凧の糸が切れたような超乱高下は起こらない。その価値は裏付けとなっている通貨の価値に連動する。

対してビットコインとの共通点は中央銀行が発行した通貨ではないこと。そしてブロックチェーンという確かな技術を利用していること。

従って、ステーブルコインの最大のメリットは通貨の機能であるところの「価値の交換性」に優れていることだ。ステーブルコインの保有者の間では瞬時に売買決済ができる。しかも銀行送金よりコストが遥かに安い。
但し、このメリットは多数のステーブルコインの所有者が存在することが条件となる。現時点ではステーブルコインの発行者も所有者も少ないので、本格的な実用化には時間がかかろう。特にステーブルコイン発行者が信頼できる存在として認知されることが重要だ。その信用度が低ければ、信用不安が生じてしまう。

それゆえステーブルコインは投機的な売買に晒されるビットコインに比し、遥かに「まともな」仮想通貨であるが、その環境づくりには時間を要するであろう。

なお、金との関係だが、そもそも金は価値の交換手段というより価値の保存手段として保有されるので、基本的に異なる存在である。

共通点と言えば、米ドル覇権への不安に根差すということであろう。

筆者もビットコインへの関心は薄いが、ステーブルコインについては今後の展開に興味を持ち、その動向を見守っている。

さて、東京の殺人的酷暑が9月も続く予報。8月下旬で連日35度超えとは想定外。筆者の仕事場は9月に入っても引き続き札幌サテライトオフィスに。いつになったら生活拠点を東京に戻せることやら。

2025年