2025年5月21日
昨晩NY市場の午前中にいきなりNY金が跳ねた。銀もプラチナもパラジウムも一斉に追随した。4つの貴金属、そろい踏みである。
特に理由はない。
要はメガ級の要因に対する金市場の反応が、第一波だけでは不十分と考えられたのであろう。
そして珍しく銀もプラチナもパラジウムも後追いした。
だいぶ格下げ相場らしい形になってきたね。
それから昨晩はECB(欧州中央銀行)が、これは異例のことだが金急騰に関するオフィシャルなレポートを作成・発行した。
基本的には金にはリスク分散効果があることを認めた上で、近年は金オプションなどを使ったデリバティブ商品が急増。この仕組債が何らかの理由で破綻すると、レバレッジの上にレバレッジを重ねたような超ハイリスク・超ハイリターン商品ゆえ、マクロの金融システムを揺るがすような事態になりかねないと警告している。
筆者はそうはならないと思うね。金市場の規模は相対的に小さく、他の市場を揺るがすほどの流動性はない。
いずれにせよ、主要な中央銀行たるECBが金について詳細なレポートを発表したことは、総じて金にお墨付きを与えたに等しい。英語の勉強したい人はECBのホームページにゆけば、原文を見られるよ。
さて、今後の金価格だが、上放れが視野に入ってきた。添付グラフを見ても緑線が「上抜けました」と語っている。
勿論、紆余曲折はあろうが、レンジが徐々に切り上がってゆく展開を予想する。
最後に、銀について聞かれることが多いのだが、筆者はにべもなく「シルバーは投機。初心者には勧めない。」と明言している。あまりに市場規模が小さく、産業用メタルとしての面が強いが、需給より投機主導の価格形成ゆえの脆弱性がある。中央銀行が外貨準備として銀を購入することも考えられないしね。金100トン相当を銀で買えばとんでもない重量になり、運ぶことさえ想像を絶する。それでもシルバーファンは絶えず、シルバー愛には根強いものがある。