2025年11月19日

国際金価格は4000ドル台をキープした。底堅い展開だ。
さて、今日の話題はロシアの公的保有金2329トンがどうなるかということ。
これはプーチン大統領の痛恨の見誤りなのだが、今回の経済制裁が金にも及び、ロシアの中央銀行金庫に保管されている2329トンの金をロンドン金市場で売却することも禁じられてしまった。
こうなると喉から手が出るほど欲しい外貨の調達に大きな支障をきたす。結果的に宝の持ち腐れになっているのだ。
筆者はここで、中国がそれを買い取る可能性に注目している。中国の公的保有金は2303トン。
然るに外貨準備の中の金の割合は僅か7.7%(ロシアは40.6%)。中国の外貨準備高は断トツで世界一ゆえ、このような少ない割合になるのだ。言い換えれば中国はまとめて金を購入して、その割合を高める方策をあれこれ考えていることであろう。「隠れ外準」で金を簿外で大量に保有しているという噂もあるが、真偽は定かでない。
大量の金を売りたいロシアと買いたい中国。
但し、ロシア側の外貨獲得と言っても、中国は人民元建て決済を要求するだろうね。
仮に中国が買わねば、ロシアへの経済制裁が緩和される時に、ロンドン金市場で大量の金を売却する可能性もちらつく。これは金価格下落材料となる。2026年の金価格展望にあたり、要経過観察事項となろう。
なお、外貨準備の中の金の割合は米、独、仏、伊は80%前後!これ、ひとえに金価格急騰の影響だ。その中で我が日本は僅か7.8%(846トン)。日本は中国に次ぐ外貨準備保有国なのに、あまりに寂しいね~。まぁ日銀が買う気ないのなら、日銀OBたちはせっせと個人的に金を買っていることだし、個人投資家も自衛策で自ら金を購入して備えるということになろう。
因みに米国は8000トン台、独、仏、伊は3000トン前後の公的金を保有している。