米国の二つの赤字、すなわち「財政収支の赤字」と「経常収支の赤字」のこと。
1980年代の米国では、減税政策の実施や国防費の増大などで財政収支の赤字が拡大する一方、産業界の国際競争力が低下して貿易収支の赤字(→経常収支の赤字)も拡大した。この「財政収支の赤字」と「経常収支の赤字」という二つの赤字によって、米ドルの信用力は低下し、強いては急激なドル安・円高につながった歴史があります。その後1990年代のクリントン政権時代にこの二つの赤字は改善されましたが、2000年のITバブルの崩壊、2001年の9.11同時テロをきっかけに、景気浮揚のために大型減税が実施されたこと、そしてまたテロ対策費やアフガン・イラク戦争戦費が増大することによって、米国の財政赤字はふたたび増大の一途をたどっています。
その一方、国内消費が旺盛であることから輸入増による貿易赤字も増大し、経常収支の赤字額は過去最大規模にまで膨れ上がっています。このまま財政収支と経常収支の赤字が拡大すれば、金利の上昇やドル暴落の恐れがあり、世界経済に深刻な打撃を与える可能性があることから、米国の「双子の赤字」は世界の重大関心事のひとつになっています。