巨額の運用資金を有するファンド(ヘッジファンドや年金基金など)のなかで、短期間のうちに利益を稼ぎ出すべく、株式、債券、通貨、商品といった国際金融市場を動き回る投機的な短期資金のことを、海外ではホットマネー(hot money)と呼んでいます。
とくに2000年以降、大量の通貨供給が生み出した「過剰流動性」(カネ余り現象)を背景に、ホットマネーは急速に膨れ上がっていると見られます。
振り返ってみればITバブル崩壊、米国同時多発テロ、イラク戦争、イラク復興対策と、2000年以降さまざまな政治的経済的なイベントが相次いでいますが、その都度、景気浮揚目的あるいは不良債権問題による経済ショック緩和のために、各国中央銀行では金融緩和を長期に渡って実施し、大量の通貨が市中に供給されてきました。
またさらに、経済成長著しいアジア諸国などでは、自国通貨安を望んで大量の自国通貨売りを実施し続けてきましたから、過剰流動性に拍車がかかっている状況です。これをもって「通貨の堕落」と呼ぶ人もいます。
いずれにしても、「安定から波乱へ」と時代のトレンドが転換した21世紀初頭において、国際金融市場はきわめて不安定化しており、その結果、将来の信用リスクやインフレリスク増大に対するヘッジとして、「金」などの実物資産に注目が集まっています。