日本政府が抱える財政赤字は、現在およそ800兆円を超えるまでになりました。幸い貿易面では黒字を計上していますから、米国のような「双子の赤字 (財政と貿易の両面での赤字)」とはなっていませんが、それでも財政赤字が巨大であることに間違いはありません。
この赤字がどのような意味を持つのか、分かりやすくするために一般家庭の家計に置き換えてみましょう。日本政府の収入(=税収)をおよそ40兆円、財政赤字をおよそ800兆円とすると、これはつまり借金が年収のほぼ20倍に達していることになります。すなわち年収700万円の世帯が、なんと1億4千万円の借金を抱えているのと同じ状態ということです。収入だけでは借金および利子の返済まで賄うことはできませんから、さらなる借金(=国債発行) を余儀なくされています。赤字額は減るどころか増える一方です。
これだけ巨額の借金を返済する方法として、2つのシナリオがあると言います。ひとつはマネタリー・インフレを意図的に引き起こす、つまり紙幣を大量に増刷して返済にあてるというシナリオです。もうひとつは消費税率をヨーロッパ各国なみにアップして税収を増やし、増収分を返済に回すというシナリオです。このような巨額の財政赤字という名のリスク、そこから類推されるインフレや消費税率アップに対する備え、さらには少子高齢化にともなう公的年金の目減りなどへの不安なども、日本国内で金への注目が高まる要因となっているようです。