近年の金価格は著しく上昇傾向にあり、投資家や市場参加者の注目を集めています。金価格の上昇にはインフレや地政学的リスク、金利動向など多くの要因がありますが、ここ数年の価格上昇にはどのような背景があるのでしょうか。
金価格が上昇する主な要因と近年の価格上昇の背景、今後の価格動向の見通しについて解説します。
目次
- 金価格はインフレや金利動向、地政学的リスクなどで上昇する
- 近年の金価格の上昇はパンデミックや金融緩和、地政学的リスクに起因
- 当面は上昇傾向が続くと予想される
この記事のポイント
金価格が上がっている?近年の推移を確認しよう
まずは直近の金価格の動向を確認してみましょう。下のチャートは2021年6月から2026年6月の5年間の金価格の推移を示したものです。
出典:三菱マテリアル ゴールドパーク 金価格推移 5年(2021年6月~2026年6月)
金価格は新型コロナウイルスの感染拡大が本格化した2020年春頃より上昇し、その後、右肩上がりの値動きとなっています。2022年以降、ロシアによるウクライナ侵攻、イスラエルとパレスチナ問題、米中対立、台湾情勢、イラン情勢など、地政学的リスクが一段と高まったことやアメリカの利下げ観測による影響によって再び上昇基調となり、史上最高値を更新する状況が続きました。
金価格が上がる条件とは?
金価格が上昇する主な要因として、以下の5つが挙げられます。
1. インフレの時
2. 金利が引き下げられた時
3. 地政学的リスクが高まった時
4. ドル安に推移した時
5. 既存の鉱山からの産出量が減った時
それぞれ詳しく確認していきましょう。
インフレの時
インフレによってモノの値段が上昇すると、相対的に通貨の価値が下落します。インフレ環境下では資産価値を守る対策として資産価値が減少しにくい金などの実物資産に投資する人が増加する傾向が見られます。
金価格は需要と供給によって変動するため、「金を買いたい」と考える人が増加すれば、その分価格は上昇することになります。
金利が引き下げられた時
金利が引き下げられると、債券投資で得られる利回りが低下し、投資先としての魅力も低下します。「債券の利回りが下がったのなら安全資産である金へ資金を振り分けよう」と、相対的に魅力が高まった金へ資金が流入する要因のひとつとなるのです。
また、金利の引き下げを行う金融緩和政策は、市場に流通する資金量を増加させることが大きな目的となっています。これによりインフレを引き起こす可能性があるため、金需要が増加し、価格が上昇することがあります。
地政学的リスクが高まった時
戦争や紛争、外交関係での緊張によって地政学的リスクが高まると、先行きに対する不透明感が強まり、市場ではリスクを回避する「リスクオフ」の姿勢が強まります。
金は「安全資産」と言われていることからも分かるように、実物資産としての価値があることが特徴です。したがって、市場が不安定なリスクオフの局面では、より安全な資産へ投資したいと考える投資家の需要が強まり、金価格の上昇へつながります。
ドル安に推移した時
国際的な金の取引には世界の基軸通貨である米ドルが用いられます。そのため金価格の推移は米ドルの値動きと切り離すことができません。
例えば、為替市場がドル安に推移すると、金価格が上昇する傾向にあります。これは金が米ドル建てによって取引されているためです。
ドル安になると、米ドル以外で金を購入する投資家にとっては相対的に金価格が割安と感じられるので、それが金需要の増加につながり、価格上昇を引き起こす要因となります。
既存の鉱山からの産出量が減った時
金は鉱山で採掘した金鉱石から取り出されて製錬されます。しかし、産出金の品位低下や鉱山の操業停止、採掘コスト上昇など、さまざまな理由で既存の鉱山からの産出量が減少することも珍しくありません。
鉱山からの産出量が減少すると、新たに市場に出回る金の供給量が限られるため、金価格の上昇につながりやすくなります。
ここ数年で金価格が上がっている要因
ここ数年で金価格が史上最高値を更新している理由として、次の5点が挙げられます。
それぞれ詳しく解説していきましょう。
新型コロナウイルスのパンデミック
ここ数年での金価格の上昇を引き起こした大きな要因のひとつが、新型コロナウイルスの感染拡大によるものです。
これまで例を見ない世界的なパンデミックにより、世界経済は停滞し、市場にも大きな影響を与えました。収束が見えない環境下で多くの投資家が安全資産である金への投資を加速させ、それが金価格上昇の大きな引き金となったのです。
これにより、2020年の年初には1toz=1,500米ドル台だった金価格が、同年8月には2,000米ドル台に達し、30%以上の上昇となりました。
各国政府による金融緩和政策
前述のとおり、金利が引き下げられることにより債券投資で得られる利回りが低下するため、利息がつかない金と比べても大差がなくなり、相対的に金の魅力が上昇します。したがって、こうした金利動向の変化が、近年の金価格上昇を支える重要な背景のひとつとなっています。
結果的に安全資産である金へ資金を移動させる投資家と、それによる金の値上がりを期待し、より高い利回りを求める投資家によって、金へ資金が流入するきっかけとなりました。
ロシアのウクライナ侵攻
2022年2月24日に開始されたロシアによるウクライナ侵攻も、金価格に大きな影響を与えています。侵攻前は1toz=1,800~1,900米ドル台で推移していましたが、その後は地政学的リスクの高まりにより、同年3月に金価格は一時2,000米ドル台を超えました。
2026年も続くロシアとウクライナの情勢をはじめ、台湾や中東、米中対立、イランを巡る地政学的リスクは、依然として金価格の動向を左右する要因のひとつとなっています。
また、経済制裁により、ロシアが米ドルを介した国際決済ネットワークを使用できなくなったことも金価格に大きな影響を与えています。いざという時に米ドルが使えなくなった場合に備えて外貨準備の一部を米ドルから金に切り替える動きがあり、新興国の中央銀行を中心に金を買い増す動きが続いている状態です。
台湾有事への懸念
台湾と中国の政治的・軍事的対立激化により、台湾有事への懸念も軽視できません。2022年8月、中国はアメリカの下院議長の台湾訪問に反発して大規模な軍事演習を行っています。また、2023年4月、2024年5月にもアメリカと台湾を巡る動向に反発する形で軍事演習が行われました。
すぐさま軍事的な衝突が起こる可能性は低いものの、緊張関係は一層高まっている状況です。こちらも金価格へ影響を与える要因として、引き続き注視が必要と言えるでしょう。
中東情勢の悪化
2023年から2026年初頭にかけての金価格の上昇は中東情勢の悪化が大きく起因しています。2023年10月7日に始まったハマスなどのパレスチナ武装勢力によるイスラエルとの対立は、金価格の上昇要因となりました。それまで金価格は1toz=1,800~1,900米ドル台で推移していましたが、2023年末からは継続的に2,000米ドル前後、2025年は3,000~4,000米ドル台で推移し、上昇を続けました。更に2026年1月には5,000米ドルを突破し、当時の史上最高値を更新しました。中東情勢は引き続き不安定な状況が続いていることから、今後もその動向に注視が必要です。
金価格は上がりすぎ?
2026年に入ってからの金価格は、時折下落する局面はあるものの、概ね高い水準を維持しています。中には、「金価格は上がりすぎているのでは?」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。この上昇傾向はいつまで続くのでしょうか。
ここ数年の上昇傾向のスタートは新型コロナウイルスの感染拡大が大きなきっかけでした。パンデミックの影響は収束しているものの、2022年2月に勃発したロシアによるウクライナ侵攻、依然として複雑なパレスチナ情勢、2026年に入り悪化したイランを巡る中東情勢の緊迫化は、いまだ終息が見通せない状況です。
金は宝飾品やエレクトロニクスなどの産業用途といった生活に密接な実需を持つことに加え、腐食しにくく長期保存に適している特性から資産保全としての側面もあわせ持っています。こうした多面的なニーズによる底堅い需要が、地政学的リスク下において金価格を押し上げる要因となっています。
今後も短期的な価格変動は避けられないものの、需要の根強さを背景に金価格は引き続き注目されていくでしょう。
金価格が下落する条件とは?
金価格は地政学的リスクが和らぎ世界経済が安定している時、いわゆる「リスクオン」の局面に下落しやすい傾向があります。リスクオンの局面においては、よりリスクの大きい株式などに資金が集まりやすいからです。
また、金価格は金利が上昇している局面でも下落しやすい傾向があります。なぜなら金は実物資産であり、基本的には貸し付けたり借りたりする性質を持たないため、金利が付かないからです。したがって、金利上昇によって相対的に債券の魅力が高まることから、金が売られて債券が買われる動きが強まることになります。
このように金価格は長期的な視点で見ると右肩上がりに上昇しているものの、中期的な視点では上昇や下落を見せる場合があります。市場の動きを正しく把握するには、こうした価格変動の要因を理解しておくことが重要です。
金を売買するタイミングはいつがいいのか?
金へ投資する際に多くの方が気になるのが「売買するタイミング」です。ここでは2つのタイミングに分けて見ていきましょう。
金を買うべきタイミング
金は地政学的リスクが和らいでいるタイミングや金利上昇の局面で比較的安価に購入できる可能性があります。そのため金を購入したい時は世界情勢や各国の金利動向に目を向けてみると良いでしょう。
しかし、昨今のように金価格が上昇し続けている時に購入タイミングを判断することは非常に難しく、プロの投資家でも今後の価格動向を見通せる世界情勢ではありません。このような状況下では価格変動リスクを抑えられるドルコスト平均法と呼ばれる購入方法を用いて、一定額を定期的に投資する純金積立を始めることがおすすめです。金価格が高い時は少なく、安い時は多くの金量を購入することになり、結果として購入単価が平準化されるメリットがあります。
また、長期的な資産形成として金を購入する際は、一度にまとめて購入するのではなく、純金積立で定期的に定額購入すると価格変動リスクを軽減できます。
金を売るべきタイミング
反対に地政学的リスクや経済不安が高まっている時に金価格は上がりやすい傾向があります。保有している金の売却を検討するのであれば、こうした「リスクオフ」の局面を検討してみましょう。このように世界情勢や経済状況を見ながらタイミングを判断することは必要ですが、基本的には長期保有を前提に、まとまったお金が必要となるライフイベントがある時に売却を検討するのもひとつの考え方です。
結局、金を今買うべきなのか?
これだけ金価格の上昇が続いていると「いつが買い時なのか分からない」と悩む方も多いかもしれません。
金価格はこれまで一時的な値下がりが起こることはあっても、直近20年ほどはおよそ右肩上がりの状況が続いてきました。足元も地政学的リスクの高まりやインフレ基調が継続しているため、長期的に見れば上昇傾向が続く可能性は十分あると考えられます。こうした要因から今が買い時と判断するのもひとつの選択肢と言えるでしょう。
安定的な資産運用には純金積立がおすすめ
「金を購入したいけど、高値づかみをしそうで怖い」という方は、純金積立を検討してみることがおすすめです。
純金積立とはあらかじめ一定の金額を設定し、金を継続して購入する方法です。一定金額で購入するため、購入単価が平準化され、価格変動リスクを軽減できるメリットがあります。
結果的に「高値づかみ」のリスクを抑えられるため、「いつが買い時かわからない」と迷う方でも手軽に始めやすいでしょう。まず購入金額などを設定した後は、自動で購入手続きが行われるため、手間がかからない点もうれしいポイントです。
純金積立なら三菱マテリアルのマイ・ゴールドパートナー
これから純金積立を始めようと考えている方は、大切な資産を安心して預けるためにも信頼できる運営会社を選ぶことが大切です。
しかし「どこの運営会社を選べば良いのか分からない」、「さまざまな候補がありすぎて選ぶことができない」とお悩みの方には、三菱マテリアルのマイ・ゴールドパートナーをおすすめします。
三菱マテリアルは明治29年(1896年)から100年以上にわたって金の製錬に取り組んできた歴史があり、国際基準の高い品質を保証しています。
マイ・ゴールドパートナーでは金だけではなくプラチナや銀の積立もでき、月々3,000円から無理のない範囲で積立購入ができるほか、年2回まで任意の月を指定して、月額積立購入金額に加算できるボーナス月プラス積立購入や各種スポット購入にも対応しているため、ご予算に応じて無理なく購入できます。
年会費は800円、積立購入手数料は1,000円につき26円(消費税込)または31円(消費税込)、ボーナス月プラス積立購入や各種スポット購入の場合には手数料がかかりません。
保管料は消費寄託預かりでは無料、混蔵寄託預かりでは有料です。口座管理料はかかりません。
積み立てた金は金地金で現物を受け取ったり、金貨で返還を受けたり、市場売却受託サービスを利用して金銭で返還を受けることができます。
現物引出手数料は金地金1本あたり8,000円~15,000円(サイズによって異なります。500g以上の金地金は無料)。配送手数料は2,000円(保険料込)です。
オンライントレード(インターネット取引サービス)を利用すればお手軽に取引ができるため、買い時や売り時を逃すことも少ないでしょう。当社店頭価格より優遇※されたWeb価格が適用されます。
※Web価格は当社店頭価格に比べ、金・プラチナで10円/g、銀で0.15円/gの優遇となっております。適用対象はオンライントレード取引での当日スポット購入、等価メタル変更サービス、市場売却受託サービスです。
詳細比較は以下ホームページ「マーケット情報・最新の価格」をご覧ください。
また「会員継続ボーナス」というユニークな特典があり、会員が会員契約期間開始日から会員契約期間満了日までマイ・ゴールドパートナーを継続してご利用いただいたことに対する特典として、会員契約期間満了日にお客様の消費寄託残高に加算します。
なお、金・プラチナ・銀の消費寄託、混蔵寄託の購入取引が対象です(混蔵寄託は金のみの取扱いとなります)。詳細は以下ホームページをご参照ください。
まとめ
地政学的リスクの高まりや世界的なインフレ基調の影響により、長期的に見た金価格は右肩上がりに上昇を続けています。今後の見通しを予測するのは不可能ですが、市場には金価格の上昇要因が多く存在している状況です。
今後起こり得る大きな市場変動から資産を守る目的からも、安全資産である金をポートフォリオに加えてみてはいかがでしょうか。
まずは毎月少額から定額購入できる純金積立を検討してみることをおすすめします。
※本記事は更新時の情報です